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第2話

 俺がどうしてこんなに困惑しているかというと、笠松が俺たちのようなカップルには必要だと書いてあったとネット情報を鵜呑みにして通販で拡張用のアナルプラグを購入し、それが俺の家に届いたのだ。  しかもどんなサイトで情報収集をしているのかは知らないが、こういった突拍子もないことを聞いてくることが増えたし、変なものもよく購入している。その度に俺はたじたじになってしまう。 「なんで三芳はいっつもだめっていうの?」 「それは笠松がいつも突拍子もないことするから……」  そう言いかけたところで言葉を止めたのは、言い返してくると思った笠松が神妙な顔をして黙り込んでいたからで。  思ってなかった反応に少し戸惑っていると笠松は開封して置きっぱなしになっていたものを片付け、荷物を持って立ち上がった。 「……帰る」 「ちょ、ちょっと待ってくれ」 「……俺がいると三芳は不快なんだろ」 「そんなこと言ってないだろ」 「今だってすごく嫌そうな顔してる」  そう言いながらとても寂しそうに背を向けた笠松の腕を掴んで引き寄せるように抱きしめる。その瞬間、笠松の体がびっくと少しだけ震えた。 「待ってくれ。嫌そうになんかしてない。どういう顔をしたらいいのかわからなかっただけだ」 「どういう顔って?」  振り向いて俺のことを見上げる笠松が可愛くてどうしようもなく照れてしまい、がりがりと頭を掻きながら目線を逸らした。 「こんな顔だよ。……情けないだろ」 「そんなことないけど」  あどけない顔を向ける笠松は絶対にわかっていない。 「お前は興味本位で聞いてるだけだろうけどさ、こっちはそのおかげで大変なんだよ」 「大変って?」 「それ! 無意識に誘ってくんな」  笠松は何を言われているのかわからないという表情で首を傾げた。 「誘ってるって俺が?」 「お前以外に誰だっていうんだよ」 「……絶対嘘だ」  そう言いながら顔を背けた笠松の腕を引っ張ってもう一度リビングに戻ってソファに座らせる。  今までこんな風に相手のご機嫌取りなんてしたことなかったから、どうやれば笠松は機嫌を直してくれるのか正直なところわからないけど、ここで手を離してしまったらいけない気がした。  しかし連れては来たけど、さっきから笠松は俯いたままだった。

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