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おまけ*~笠松くんの逆襲~

 *  朝起きると、肌色の壁が目の前に広がっていた。 「なんだ?」  寝ぼけ眼でペタペタと触りながら顔を上げてみると、三芳の寝顔がそこにあって思わずびっくりして後退りしてしまう。 (なんで三芳、裸で寝てるんだよ……)  そう思った矢先に、ふと自分の体が視界に入って驚愕した。 (お、俺もだ⁉︎)  すると一瞬にして昨日の事を思い出し、急に恥ずかしくなってしまった俺は、居たたまれなくなって何となくベッドの端っこまでゆっくり移動した。 (そうだ。そうだ。昨日、俺……ヤっちゃったんだ……)  もう一度、振り返って三芳の寝顔を見ると、三芳はいつも格好いいのだが、いつも以上に寝顔も格好良く見えて心臓に悪いからもう一度布団をかぶりなおす。 (き、き、昨日の……す、………………っげー気持ち良かった……。何あれ、セックスってあんなに気持ちいいの? もう頭が馬鹿になるかと思ったし)  目くるめく夜を思い出して、また布団からひょこっと顔を出し、まだ三芳が寝ていることを確認すると、大きく息を吐いて両手で顔を覆う。 (気持ち良すぎてやばかったけど、セックスって…………超恥ずかしい)  めっちゃ足とか広げられて凄い格好させられたし、声とかめっちゃ出ちゃったし、思い出せば思い出すほど恥ずかしくて堪らない。  このままじゃまともに顔も見れないと思ったので三芳が起きてくる前に起き上がろうとすると、腕を引っ張られた。 「おはよう」 「お、おはようございます」 「なんで、敬語?」 「いや、なんとなく」  すると三芳はまるで息をするみたいに自然に俺にキスをする。 「あれ? なんで赤くなるの?」 「は、恥ずかしいからだよ!」  思わずまた布団に潜り込むと、簡単に剥ぎ取られて今度は後ろから抱きすくめられた。  こっちは色々と頭の整理が必要だというのに、これだからイケメンは……! と思いつつ、今まで付き合った人にもこんなことしたのかなって思うと少しモヤモヤした。 「体、平気? 痛いところない?」 「うん。ちょっとだるいけど大丈夫」 「よかった」  そう言いながらさらに抱きしめてくる三芳に、俺がおずおずと振り向き見上げると三芳は首を傾げた。 「どうかした?」 「……俺、変じゃなかった?」 「何が?」 「……いや、結構さ……声、出ちゃったなぁって思って恥ずかしくなった」  すると、三芳は何を今さらと言いながら俺の額を小突く。そしてニヤリと笑いながら「お前が出したのは声だけじゃないけどな」と言った。  そのおかげでまた昨日のことを鮮明に思い出していると、三芳は肩を震わせながら笑っている。 「なんだよ! 初めてだったんだから仕方ないだろ?」 「そうだったな。初めてくれてありがとう」  面白そうに笑う三芳にムッとしながらも、やっぱり色々と気になってしまう。 「本当に変じゃなかった?」 「変じゃないって」 「がっかりしなかった?」 「なんでがっかりすると思うんだよ」 「想像と違った……みたいな」 「逆にそれは俺が気にするとこだろ。安心しろ、笠松は想像以上に可愛かったし、エロかった!」  またさらっと言われて面食らってしまったのだが、今回は訳がわからなくなってせっかく勉強したことが何一つ活かせかった。 「なぁ! 三芳! 次やるときさ、きじょーいってのやってみたい!」 「き、騎乗位⁉︎ な、なんで⁉︎」 「この前、見た動画でやってた」 「お、お前、また動画とか見てんのか⁉︎」  すると途端に焦り出した三芳だったが、俺は想像したら少し楽しくなっていた。 「見たやつではさ、タチっての? 三芳の方、そっちがアンアン言わされてたから、それやりたい」 「笠松はタチとかそういう用語、覚えなくていいから」 「とにかく、次はそれな!」 「わかったよ」  俺が約束だと小指を出すと、呆れ顔でため息をついた三芳も同じようにして指切りして、  ──そのままキスをした。  *  ちなみに、その約束は後日ちゃんと守られた訳だが、俺が上に乗って三芳をアンアン言わせてやるんだ! って意気揚々と臨んだのに、アンアン言わせる前に下からガンガン突き上げられて返り討ちにあい、結果的に自分がアンアン言わされた……と言うのは、とんだ誤算だった。    END

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