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第12話

「ごしゅじんさま!」 ごしゅじんさまのくちから さびいろですごいにおいのみずが たくさんふきだした ごしゅじんさまはとてもくるしそうなのに ぼくはみずからでても ごしゅじんさまをたすけることなんかできない なにもしてあげられない いのりはとどかない ねがいはかなわない ごしゅじんさまと おわかれしないといけないの ずっといっしょにはいられないの 「テンツァー」 「はい」 ぼくもくるしくなってきた そろそろみずにもどらないといけないんだろう だけどごしゅじんさまがよんでくれたから ぼくはごしゅじんさまにちかづいて くちからくさくてさびいろのみずをすいとろうとしたけど くさくてできなくて やっとできたキスは ただただはきそうできもちわるかった だんだんいきもくるしくて ごしゅじんさまのうえにたおれこんでしまった なんてことだろう こんなことしたら よけいにごしゅじんさまがくるしくなってしまうというのに うごけない 「テンツァー…おめえもか」 ごしゅじんさまのこえがとおくにきこえる からだはぴったりくっついてるのにおかしいな 「一緒に逝くか」 え…? おわかれ、しなくていいの? まだいっしょにいられるの? またちがうところにつれてってくれるの? うれしい ごしゅじんさま だいすきです テンツァーは ごしゅじんさまからはなれません だからごしゅじんさまも テンツァーをはなさないでください どこへでも、おともしますね。 【完】

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