1 / 6

第1話

 初めて見たのは、高校の入学式の時だった。 体育館の入口の横に、他の教員達と共に立っていた。 少し線の細い、弱々しく、優しそうな教師だと思った。  次に会ったのは、古典の授業の時だった。 見た目はやっぱり弱々しい優しそうな印象だったが、一言挨拶したその声がやけに冷めた音で、奇妙な感覚を持った。 最初に持ったイメージと、本当は随分と違うのかもしれない。 少しの興味。 それが、いつの間にか『恋』として形を変えるのに、時間はかからなかった。

ともだちにシェアしよう!