1 / 3

第1話 白玉ぜんざい美味しいよ?

「折芽(おりめ)は何が食べたいんだ。お前んち裕福じゃねーんだから任せろってんだ! っちょ、丁(ひのと)何してるんだ! それはゴムでできたやつだから――じゃねーじゃねか! 何舐めてる! 店主に怒られるぞ!」 「甘くて美味しいねぇ、陽海(はるみ)!」  どっか抜けてるって僕は言われるけど、ちゃんと陽海の言うこときいてるから、大丈夫!  僕、今井丁(いまいひのと)は陽海のお母様からプレゼントされた蝶々がアクセントになるチョーカーをつけていた。  どうやら僕はトロいらしい。でも、陽海よりも運動はできるのだけどなぁ? おかしいなぁ。 確かに陽海は腹筋割れてて素敵だけど、走るのは全然ダメだし、あ、でも跳び箱はすごいと思う! 僕の契約彼氏の陽海は何事もパパっと決めちゃってカッコイイ。 「折芽何か言ってくれ。こいつの頭の中は俺でいっぱいなのはわかってるけど、それ以上に不思議っ子過ぎて読めねぇ。次の行動が」 「多分、店主さんにその白玉ぜんざい食べてもいいですか? って聞こうとしてるんじゃないのか?」 「うんー 美味しい生クリームだから食べたくて、これもらいたい」  どうして、折芽先輩は僕の考えてる事わかるんだろう? 不思議。同じΩなのにキビキビしてる動きとかずるい。しかも、折芽先輩は陽海とずいぶん仲がいい。  悔しいけど……僕の方が陽海の事知ってるはずだもん。  例えば、夜トイレに行って、僕の事を考えて抜いてるとか。  なかなか噛まないのは、親の言うことを聞きたくないからだとか。  僕の事愛してくれてるよね? 陽海。じゃないと僕はジェラシーでこの包帯をとって、無理矢理にでも陽海に噛んでもらう。今は無理だけど。発情期になったら甘い香りを漂わせて、隔離室から出て、真っ先に陽海のところに行くよ! 「陽海、買ってやれよ。こんなにしょぼくれてる丁はなかなか見れないぜ?」 「丁、お前はあんまり食べられないんだから、少し食べたら俺によこせよ。このグルメツアーはたくさん食べるために開いてるんだからな!」 「買ってくれるの? 陽海ありがとう!! 大好き!」 「はいはい。おっちゃんうちのバカがこれ手をつけちゃったから。白玉ぜんざい2つくれよ! 一つはこの手をつけた白玉ぜんざい引き取るから新しく飾ってくれ!」 「おうよ! ありがとさん。まぁ、ゴムで作るより、生の方が美味しそうにみえるだろう? だから生のもんをおいてるんだが、ガキがよく生クリームを触るんさ。だからきにしないでいいぞ。ほら、でっかいのよかったな」  きゅぴーん! 「おじさん! この白玉ぜんざい本当に美味しいです。僕、生クリームとあんこ好きなんです。もちもちとした白玉も! ありがとうございます。ぅぅこんなに美味しい白玉ぜんざい食べたことないです!」 「でかいのはいいこと言うなぁ! 可愛い笑顔浮かべて、そこの坊主にとって食われて知らねーぞ?」 「「へ?」」  でかいのって僕の事かな? 陽海が僕のことを食べるってこと? わくわく、僕、嬉しい。そしたらいくらでも僕、身を任せちゃうんだけどなぁ!  横目でじーっとみていると陽海は赤くなりながら。目が合うと『なんだよ!』と機嫌が悪そうに言ってくる。  むぅ。どうしたんだろう。僕何か悪いことしちゃったかな? あ、白玉か。

ともだちにシェアしよう!