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第2話 陽海のばか!

「陽海あーん」 「あーんってなんだよ? っと、そのあーんか。はいはい。もぐもぐ……こいつはうまい! もちもちしてて、あんこも丁度いい甘さだしいいな! おい丁、折芽にも食べさせてやれよ。ほら」 「やだ」  折芽先輩はくすくすと笑っている。ッム。馬鹿にされるの嫌い! 僕が何か言おうとしたら陽海が僕の手から白玉を取り上げると、折芽先輩にあーんしてるぅ! くぅ。ずるい僕もしてもらいたい! 「陽海陽海あーんあーん早く! あーん!」 「んだよ、自分で食えよほら」  白玉ぜんざいの入った容器を差し出してくる。 「陽海冷たい……陽海のばか!」  僕は全力でその場から逃げ出した。 「ちょ、待てって。おい!」  陽海の声が聞こえるけどそんなの知らない。僕なんか嫌いなんだ。陽海のお母様の言うことなんか聞かない。僕、違う人と番(つがい)になる。  僕は淋しい気分と泣きたい気分とが合体して鬱になりながら寮の部屋へと戻った。  もういい、荷物まとめてこの部屋から出てく。そう決めて僕は荷物をまとめていると、一時間程して、陽海が帰ってきた。 「お前何してるんだよ。こんなに荷物広げて!」 「……」  僕は知らんぷりして荷物を片付けている。陽海はというと荷物を棚にしまおうとするから僕は怒った。  まるで、飼い主に牙をむくかのように僕は陽海の手を叩く。ボトッと落ちる服が虚しく響く。僕は泣きそうになるのを我慢して、さっき座っていた場所にもどって服をしまう。 「お前どこいこうとしてんだよ。たかがあんなことで何怒ってんだよ! しまいには俺も怒るぞ?」  怒ったっていい。僕は無視をしてしまい続けていると、陽海は俺の顔を覗き込んで来る。  それが嫌でプイっとそっぽを向く。いつまでも見てくるのでやりづらいもう! 『ッゴン!』  頭突きをして邪魔な顔をどけると、作業に戻る。 「痛っ! お前何しやがる。やめろって言ってんだろう? 聞けよ。大体お前が折芽にやらねーのが悪いんだろう?」 「うるさいな、僕は知らない。出てくって決めたから、番の話もなかったことにしてもらう」 「な……なんでそんなに気が短ぇーんだよ。たかがアレぐらいのことで出ていく騒ぎにするなよ」 「……」  陽海はわかってない。僕が怒った理由。僕は陽海の番になる予定なのだから他の人になついちゃいけないんだ。なのにそんな注文されても頷けないし、大体、陽海がいけないのに……。 「ちーっす。こんな事だと思ってきてみたら、陽海、お前さ……少しはデリカシーもてよ。お前用の番の丁をないがしろにするなんて事するからこんな騒ぎになるんだろ?」 「まだこいつは番じゃない」  折芽さんがドアが空いているのをいいことに入ってくる。  僕の努めはやがて社長になる陽海を支えて補佐すること。なのに、陽海が噛まないから僕はつらい思いをしてる。陽海さえ望めば僕はいつだってこの身を捧げるのに!  折芽さんは知ってか知らないか僕の頭をポンポンと撫でると陽海に少しきつい言い方をする。 「陽海、僕達Ωはαがいてこその存在なんだよ? そのΩをないがしろにするなんて最低だよ。あれだけいっても態度をかえないならボクも知らないよ。陽海にはがっかりしたよ、最低だね君。Ωの事舐めてるの? 人間だってこと忘れてない?」 「あ……いや……」 「待って、折芽さん、陽海はΩの僕を大切にしてくれるよ。でも今日は僕の虫の居所が悪くて、折芽さんに嫉妬して、僕がこんな事したから陽海は怒って……ぅぅ……ひっく、、お願いだか、ぅひっく……ら陽海を悪くぅぅ……言わないで……」 「お前……」 「だってさ、陽海。こんなに純真な子泣かせていいもんかねぇ? 陽海、ちゃんと応えてあげなよ?」

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