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第3話 陽海!!(感動)

「甘い香りがする……もしかして、折芽お前発情期になったんじゃねーか?」 「なんでボクなのさ。心配する相手、間違ってるだろ。ボクは発情はこの間迎えたばっかり。多分、丁だと思う」 「う、あ、あ。薬。薬飲まなくちゃ。折芽先輩薬ください。今日買う予定だったんだけど……ごめんね陽海、今薬飲むからそれで、隔離室で少し休む」 「待てよ。ほらチョーカー外せよ」  何をいってるんだろう。まさか、項(うなじ)を噛む気なの? 嬉しけど、こんな状態で噛まれたら僕……仕方なく噛まれたみたいでいやだ。 「や……だ……薬くだ、さい。ん、んん、ふ、ぁああんぢゅ。ぴちゃ。ふぁ……は、陽海?」  なんとあのプライドの高い陽海が僕に人前でキスをして薬をのませTくれたのだった。  僕は涙を流してしまう。初めてキスした相手が陽海でよかった。って。 「お前が嫌だというから飲ませただけだ。意味は……お前が他のやつの番になるのがいやだからだ。悪いか?」 「あ……ぅぅふぇぇんひっくひっくふぇぇん――」 「あーあ泣いちゃった。本当に陽海は丁を泣かせるのがうまいねぇ。貸しなこれ陽海。ほら、お兄さんが隔離室連れてってあげるからついといで。陽海は片付ける。いいね」  僕はこくんと頷いていこうとするとてを引っ張られる。 「陽海?」 「お前明日誕生日だろ。プレゼントだ。気にいるかわかんねぇけど。お前が途中でいなくなるから好みきけなかったんだ。受け取れ」 「はいはい。それは隔離室で大事にあけなさい。今は早く行くことだよ。」  なんだろう。この小包は? 軽いけど。誕生日覚えておいてくれたんだ。嬉しい。でも陽海は僕の事なんとも思ってないのかな。折芽先輩が好きなのかな……。 「はいそこー。考えない動く動く」 「は、陽海ありがとう。後で開けるね。お部屋ごめんね。僕のせいで……」 「お前、他のαに噛まれるなよな。絶対な。行けよ」  僕は折芽先輩に連れられてくると、やっぱりΩの発する香りは相当なもので、αが蠢いている。中には襲ってこようとする輩がいて、僕は怖かった。でも折芽先輩が一人一人さばいてくれて無事隔離室へつくと、管理人の唐木さんに僕を任せた。それで一言。 「陽海は素直じゃないだけだよ。そのプレゼントすごく頑張って選んでたから。何が似合うかなって。ヤキモチ焼いちゃう程真剣な思いが詰まってると思うよ」  そういうとひらひらと手を降っていってしまった。 「ほら、丁くん中に入って頂戴。これ以上こっちにいると噛まれちゃうわよ?」  茶目っ気たっぷりの唐木さんは優しい優しいお姉さん。みんなに慕われる寮の管理人さん。 「あ、はい!」  中には数人いて、みんな疲れた顔をしている。  僕はおずおずと布団を広げ寝転がるとプレゼントを開けた。 「お、なになに?」 「いや、これもらって」  上級生のΩの人が面白げに僕の手元にある小さな小包を早く『開けてみろよ』と言うので、開けてみると。そこには。 「あ! ……指輪? と……チョーカー?」  真っ白な色の生地に薔薇の赤い花びらをあしらった飾りがワンポイントついたチョーカー。  とてもとても綺麗で僕は喜びがこみ上げてくる。  指輪を見てみると高そうな……まるで鳥同士がくちばしをついばんでいたわりあっているかのようなそんな柄のシルバーの指輪。裏にはHARUMI.HINOTOと書かれていた。  僕はどっちの手につければいいの赤なぁなんて悩んで右手の薬指につけようとしたら、 「お前そういうのは左の薬指につけるもんだぜ? ほらつけてみろよ。いいじゃん!」  僕は幸せものだ。陽海ありがとう。  折芽先輩がやってくると僕にゲーム機の差し入れを受けた。

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