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第1話
「佐々木 は、今年もハロウィンパーティーに参加しないの?」
「うん。いつも誘ってくれてありがとね」
「いいって。でも残念だったな。今年こそ、お前のコスプレ姿を拝めるって皆で話してたんだけどな」
残念そうに話す木崎 に、佐々木はごめんと言いながら申し訳なさそうに視線を下にずらす。
本心は行くと答えたい。でも、どうしてもそう答える勇気は出ないのだ。言おうとすれば、いつも佐々木の頭にちらついてしまう。木崎の幼馴染みである、首藤 の存在が。
どうやら首藤は、木崎と佐々木が仲良くするのを快く思っていないらしい。2人が話している場面を目撃すると、いつも邪魔ばかりする。幼馴染みの特権で、木崎の腕にすりより。自分の可愛らしさをいかして甘える。
それを見る度に、自分はここにいてはいけないと思ってしまうのだ。
「健斗 !早く、今年のパーティーの衣装選びに行こうよ!」
「春汰 。1人で先に行っててって言っただろ?それか金井 と」
「やだ!僕は健斗と行きたいの!明宏くんとは、絶対にやだ」
ほらほらと、木崎の腕を首藤は引っ張る。他人から見れば、とても羨ましいぐらいに2人はお似合いで。可愛い首藤とかっこいい木崎。周りは、この2人が付き合っていると思っている。
仕方のないことだ。こんな風に仲のいい姿を見せられては、そう思うのも無理はない。
「分かった、わかった!行くから落ち着けよ、春汰」
「うん!」
「じゃあ、佐々木。またな」
木崎が手を振るので佐々木も振り返すと、首藤がギロッと睨んできた。
「春汰?」
「んーん!何でもない」
くっつきながら歩いていく2人の背中を見ながら、佐々木はそっとため息をついた。
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