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第8話

しばらく経ったある日 「決まったぞ!!お前達の相手が!」 「…あなた…まだ早すぎます。…」 日頃、大人しい母上が義父様に発言した。 「早めの方がなにかといいだろう!」 そして、あの運命が変わる夜が来た。 「深雪。ここから先があちらの世界だよ。」 「嫌だっ!やだよぉ!」 「…絶対に迎えにいくから。 その日まで生きて。」 「これが、僕の昔の話。」 辺りは静まっていた。 「そんなの、ひどすぎます。」 泣きながら風と抱き合う華。 「…多分、義兄様はこちらの世界の方がまだ安 全だと思ったんだと思う。」 あのあと、すぐに親方に気づいてもらい、育て てくれた。 だから、少しは感謝している。 「…でも、姐さんはやっぱりあのお客に身請け してもらった方がいいと思う。」 「…晴。」 「俺は、もう会うことすらないかもしれないの に。」 「と、とりあえず、もう寝ましょうよ。明日も 早いですよ。」 やはり、この空気を正してくれたのは風だっ た。 「そ、そうだね!ほら晴も戻るよ。」 そういって風と華は晴を連れて戻っていった。 「ふぅ…今日はゆっくりと寝よう。」 そう思った矢先に コンコン 「入るぞ。」 入ってきたのは、親方だった。 「…。」 「お前、真人を振ったんだって?」 笑いながら、僕に問いかける。 「…何故知っておられるのでありんすか?」 「俺と真人は親友だよ。」 「!?」 「…お前がここに来たのは9~10年前だった かな。 あの日、俺は真人と連絡をとるために境界線の 所に居たんだ。 そしたら、真人は珍しく走ってきて『僕の義弟 を守ってくれ。』と言ったんだ。 俺はとりあえず了承しちまった。 その晩綺麗な服を着た小さな男の子が泣いてい るのを見つけた。 それが深雪だ。」 「!?…義兄様と親方が親友だとは…。」 「まぁ、俺もこんな仕事してるからある程度お 前に客がいかないようしてたが、とらないと周 りが怪しむ。」 義兄様はたまにどこかへ行っていた。 まさか親方と会うためだったとは! 「お前が振ったあと俺んとこに来て、すごい顔 でキレてきたんだぞ。 あー、怖かった。」 義兄様がそこまでするとは…。 「まぁ、あいつの愛は本物だから、少しは考え てやってもいいんじゃないか?」

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