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ある日の放課後
中学校を出た道沿いにあるバス停。ちょうど止まっていたバスに侑が乗り込むと、顔見知りの運転手がバックミラー超しに「お疲れさん」と挨拶してきた。
「もう帰りかい?今日は早いんだね」
「お疲れ様っす。ちょっとヤボ用があって」
へらっと笑って応えると適当に空いている座席に座り込んだ。公営バスは中途半端な時間だからか他に客は誰も居ない。鞄をクッション代わりにして寄りかかる。
それを見計らったかのようにバスが動き出し、侑は見慣れた窓の景色を視界の端に映しながら目を閉じた。
彼の住居はこの町にはなく、外れの小さな山を越えた向こうにある。距離的にはそこまで離れていないが、徒歩で山越えは流石に辛いのでバスを利用していた。
直通で揺られること約20分、ようやく麓の停留所に到着する。
しかしすぐに目的地はなく、ここから先は徒歩で移動だ。何故かと言うと単純明解、道が滅茶苦茶狭くなり、とてもバスなど通れないからである。
「ども」と侑は運転手に会釈して下車すると歩き出した。
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