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第29話 ペットの躾 ⑦ ※

そのまま耳元に寄せられた唇が、耳殻を()んで耳孔に舌を挿し込んでくる。 濡れた水音が脳に直接響いてくるような感覚だった。そのまま耳殻へも舌を這わされれば、微弱な電気でも流されているようなビリビリとした快感が背中を走っていく。 「そうだろ?」 和真の問い掛けに、亜樹が「あっ、あっ……ッ」と短く喘ぎながら小さく頷けば。 そんな亜樹の様子に和真が喉で低く笑った。 そして大きな掌で亜樹の頭をクシャリと撫でてくる。わずかに触れた体温は、やっぱり以前と変わらず温かかった。 その温もりと、ときおり垣間見える今までの和真と同じ仕草が、胸を容易にザワつかせた。 嬉しいのか、悲しいのか、どんどん分からなくなっていく。 「ひぃ…!あ……ぁ…!」 止まっていたビーズがまたゆっくりと引きずられた。 分からないままの思考が、悦楽の中にどんどん溶かされていく。そうなればは、もうまともに考えることがもうできない。 ひと思いに引き出されないその玉が、また蕾の縁を捲っていた。 そこを撫でられ弄われて。 「あぁ…っあ!あ…っ…ぁ……!」 何度もそれを繰り返されながら、窄みに玉を咥えさせられる。 そんな繰り返しの中で突然、勢いよく中のビーズを引き抜かれた。 「あぁぁっ!!い…ぃやぁ…や…だ───ッ!」 立て続けに痼りを抉られる刺激に加えて、縁を弾かれるように嬲られて、亜樹の身体が大きく仰け反る。 含む物がなくなった蕾が、ヒクヒクと小さく開閉してしまう。 「勝手にイかなかったな」 和真の掌が褒めるように、また亜樹の頭を優しく撫でていた。 だけど褒めてくれるその手に単純に喜べないまま、余韻に震えた指でギュッとシーツを握り締めた。 今はまだビーズはたったの2つだけだ。 それでも走った快感は目の前が明滅してしまうぐらい強かった。 (全部入れられてガマンなんて、ムリだよ…) だけど、でもこうやって褒めてくる言葉の裏によって、自由にイクことさえできなくなる。 そんな亜樹の後孔に和真の指が突然潜り込む。 グチュグチュと濡れた音を響かせながら、出し入れをされる指が2本。 ビーズの径に慣らされていた蕾は抵抗なく、その太さを受け入れていた。 「ようやくこの程度は解れたか」 何回もビーズに擦られて、きっと内側の柔壁は充血したようになってるだろう。 そこを和真の指がさらに嬲るように、根元まで含まされた指を体内で広げてきた。 「や………っめっ、いっま………!はぁぁダァ…ァメ…ェェ、さ…わ……ぁら…なぁ!いぃ…!でぇ…っ」 今にもイッてしまいそうな身体の疼きを堪えているのに、柔壁を弄っていた和真の指が内部の痼りを指で押し込んだ。 「やっ、ぁ……イ…っ……ちゃぁぁう……」 「まだダメだ」 分かっていた応えだった。 だけどそれなら。 「そっ…れ…!や…ぁ…め…ぇてぇぇ!」 痼りを揉みほぐすように刺激する指を止めて欲しくて、激しく首を振る。 「それ?こうやって、ここを触ることか?」 激しい快感を与えるその場所を、グリッと和真の2本の指が挟み込む。 もうその刺激で限界だった。 「ひ…ッ……!あぁ…、アアァァァ───ッ!」 頭の中が焼け切れるような激しい快感が身体を襲い、腰が大きくビクビクッと跳ねた。 真っ白に彩られた視界の中で、何が起きたかその瞬間の亜樹には理解ができていなかった。

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