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春3

いつものあの人は大きなとびらの前にやってくるととびらをこんこんと叩いた。 「どうぞ。」 とびらの向こうから低くてずっしりとした声がきこえてきた。 「失礼します、春を連れてきました。」 「ありがとう。」 「いえ、それでは失礼します。」 そういうといつものあの人はどこかにいってしまった。 「春。13歳の誕生日おめでとう。」 「ありがとうございます!」 「早速なんだが、13歳になったからには春には新しい仕事を引き受けてもらわないといけない。いつもなら私が教えてやるのだがな、お前は客からの人気がとてもあり、希望者が続出している。だからな、今から客にお前を引き渡しにいくぞ。」 「………?」 「つまりだな、お前はこれからはここを出て客の家で一生を終えるということだ。」 もしかしてそれがみんなが消えていった理由なのかな? でも、お客さまはやさしいからだいじょーぶ。 「はい!」 「いい子だ。」 「では、もう迎えがきているからついてこい。」

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