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《extra story part 2》
「な、な、ん、でッ、一番上に、ある、か、なぁッ!」
只今、午後1時44分。
ゔぅ…本棚に悪戦苦闘する自分が恥ずかしい…。
年明けの高校受験に向けて、最後の追い込みをかけるため、予想問題集を買いに本屋さんにやってきた。
……が、ハッキリ言って、志望校は余裕の合格圏内。
大体、今更勉強しても遅い。
一応、予想問題集も買っておくが、目当ての参考書 はコレではない。
欲しいのはIELTSの参考書 。
しかし、それは棚の一番上の段にある。
手を伸ばすも、全く届かない。
左手に持っていた予想問題集を一旦置き、再度右手を伸ばすも、やはり届かない。
決して背は低くない!中3だからこれからまだまだ伸びる!と、自分に言い聞かせつつも、今背がなければ意味がない。
「ゔっ」
み、右の脇腹、つ、つりそう…。
……。
あーもーいっか。
今度兄ちゃんと来たときに、買って貰おう。
そう思って諦めようとしたとき……
「なー」
「え、は、はい?」
超絶イケメンが声をかけてきた。
「お前が取ろうとしてるの、コレ?」
「え、あ、そ、それです」
誰、このイケメンは?
こんなイケメンに話しかけられるの初めてで……、すんげードキドキする。
上手く返事できない!
「はい」
え、欲しかった参考書 取ってくれたの?
あ、と、とりあえずお礼言わなきゃ。
「…あ、ありがとうございます」
「どういたしまして」
……や、ヤバい。
……イケメンの笑顔にキュンとしてしまった。
「佐久間!!」
イケメンが顔を上げる。
イケメンの名は、"サクマ"さんですか。
そう思って、振り返ると……、"サクマ"さんとはまた違うイケメンと目が合う。
「モリー!」
ん、"モリー"?
キュンキュンするイケメンはハーフなのか?
…ってか、コッチもイケメン!?
類友ですか!?
「買い終わったか?」
ジャ◯ーズ系イケメンが、ジッとこっちを見ている。
「うん。モリーのアドバイスのおかげで良いプレゼントが買えたわ。なーみっちゃん!」
「……」
可愛い顔なのに、何だか……ちょっと怖い。オーラかな、オーラが怖いのかな…。
「みっちゃん?」
「三島?」
「あ、うん。なっちゃんが喜びそうなの買えた」
あ、そうだ!
「あ、あのー…」
「ん?」
"サクマ・モリー"さんに、
「…コレ」
アメちゃん!
「アメ?」
「参考書取ってもらったので…」
ちょっと困惑気味の"サクマ・モリー"さん。
アメちゃんとか食べないかなぁ…。
「…お礼ってこと?」
そ、そうです!
「ハハッ!律儀だな。ありがと」
年上とおぼしき"サクマ・モリー"さん。
でも、少年のような笑顔 も素敵で、キュンとしてしまう。
「モリー、行こう」
「じゃあ、受験頑張れよ」
「は、ハイっ!」
片手をあげて颯爽と去って行った"サクマ・モリー"さん。
「……行っちゃった」
"サクマ・モリー"さん…。
大きくて大人っぽかったけど、大学生かな?
でも、一緒にいた友達は高校生っぽかったし。
どこの人なんだろう?
あぁ、ちゃんと話して、聞いてみればよかった。
高校生だったら、同じ高校 行きたかったなぁ。
「へへっ!」
"サクマ・モリー"さんの笑顔を思い出すだけで、キュンキュンしてしまう。
「顔もイケメンだけど、行動も仕草もイケメンだったなぁ」
ブツブツひとり言を言いながら、"サクマ・モリー"さんに取ってもらった参考書を見る。
……アレ?
コレって……。
俺、"サクマ・モリー"さんに、恋しちゃった?
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