13 / 14
4-T
《extra story》
「俺、参考書みたいから」
「おっけー」
「えっ?」
学習書籍のある方を指して言うモリーに、了解する俺と戸惑うみっちゃん。
只今、午後1時16分。
モリーには申し訳ないけど、みっちゃんお借りしまーーーす♪
「じゃあ、買い終わったら参考書のとこいくな。行こ、みっちゃん」
「う、うん」
モリーと別れて、みっちゃんと一緒に児童書籍の方へ向かう。
「モリーとみっちゃんって、ホント仲いいね」
パラパラと本を見ながらみっちゃんに声をかけた。
「そ、そうかなぁ…」
嬉しそうな顔しちゃって。
「モリーが羨ましい」
「え?」
ホント、うらやま〜。
「俺もみっちゃんと仲良くなりたいなー」
みっちゃんを見て王子スマイルをしてみるも…、
「もう仲良くなってる、よ、ね?」
やっぱりニブちんなみっちゃん。
「んー、俺もモリーみたいに、もっとみっちゃんと仲良くなりたいなーと思って」
「んー?」
すっごく考えてるみっちゃん。
やっぱり可愛い。
「はは、何その顔!」
みっちゃん、少し怒ったかな?
でも、怒った顔も可愛いとか思っちゃうぐらい、みっちゃんに首ったけだよ?
「分かんなくていいよ!そういう所が好きだから」
"好き"って言ったのに、まだチンプンカンプンって顔をしているみっちゃん。
さらっと言いすぎたか?
「良い本買えたね!モリーのおかげだな」
「うん!」
会計を済ませ、モリーのいる参考書籍の方へ向かうと…。
「ーーーーー」
「ーーー」
背の高いモリーが、少し見下ろして誰かと話している。
「はい」
「…あ、ありがとうございます」
話しかけている子は後ろ姿しか見えない。
でも……
「どういたしまして」
その笑顔 は、モリーがみっちゃんにしか見せない笑顔 。
「佐久間!!」
慌てたようにモリーを呼んだみっちゃん。
だけど……"佐久間"って?
「モリー!」
とりあえず俺もモリーを呼んでみた。
「買い終わったか?」
「うん。モリーのアドバイスのおかげで良いプレゼントが買えたわ。なー、みっちゃん!」
「……」
俺達を見ていないみっちゃん。
「みっちゃん?」
「三島?」
再度みっちゃんに声をかけると、
「あ、うん。なっちゃんが喜びそうなの買えた」
ぎこちない顔で返事をした。
「あ、あのー…」
「ん?」
さっきまでモリーが話してた子が、
「…コレ」
「アメ?」
モリーに飴を渡した。
「参考書取ってもらったので…」
「…お礼ってこと?」
横目でこっそりみっちゃんを見ると、憂いを帯びた顔をしていた。
「ハハッ!律儀だな。ありがと」
みっちゃんにそんな顔をさせるモリーに、苛立つ。
ただ……、
「モリー、行こう」
みっちゃんのそんな顔も、綺麗だと思ってしまった。
「じゃあ、受験頑張れよ」
「は、ハイっ!」
そして、みっちゃんをそんな綺麗な顔にさせるモリーに嫉妬してしまった。
「モリーって何気に紳士だよなぁ」
「何気には余計だ」
皮肉なんですけどー。
ったく、みっちゃんの気も知らないで。
「なぁ、みし」
「それじゃあ、目的の物も買えたし、何か飲んでひと息入れますか?」
言わせねーよ。
「はぁ?吉川、何言って」
それはこっちの台詞。
今その形相 で、みっちゃんに何て声かけるつもりだよ。
「まあまあ。折角なんだから、いいだろ?みっちゃんもちょっと疲れてるし。ね?」
「あ、うん」
ほらぁー、すっげー怯えてるじゃんか。
「少し休も?」
「…うん」
ちょっとは引くってことを覚えろよ、モリー。
「俺さ、スタ◯新作飲みたかったんだよね」
俺だって、好きな子が悲しそうだったら気になるよ。
「でも高校生には、なかなか高い飲み物だからなー」
でも、他の奴のせいで悲しい顔をしているなら、見守って寄り添ってあげる方が、ポイント高いでしょ?
ふたりを引き裂く王子は、今後をどう展開させていこうか思案中!
ともだちにシェアしよう!