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1-さたでいないとで3Pえっち
頭文字がカ行トリオの加賀見 と笠原 と紙屋 は高校入学時、名前順で席が並んだのをきっかけにして学校生活を共にするようになった。
「はぁ~カノジョほしい」
加賀見はハンバーグサンドをぱくつきながらため息をつく。
「うるせー万年発情野郎」
笠原はレモン炭酸を飲みながら冷めた目つきで舌打ちする。
「そういえば今週末また親が旅行行くって」
紙屋はパックの調整豆乳を飲み干すと黒縁眼鏡をかけ直した。
だらだら昼食をとっていた笠原と、デザートのチョコパイをもっそもっそ食べていた加賀見は紙屋の台詞にいきなりテンションを上げる。
「おお! じゃあ紙屋んちでお泊まり決定! 何の映画見る!?」
「恋愛はもうやだ、アクションかアニメがいい」
「ホラーは?」
週末の予定で盛り上がる高校一年生男子トリオ。
そして待ちに待った土曜日。
見晴らしのいい高台にある、両親が留守の紙屋宅へ加賀見と笠原はお邪魔した。
夕食はピザを頼んでコーラ片手にバラエティ番組を鑑賞。
風呂は明日の朝でいいと、教室と変わらずだらだらする客人二人、紙屋はそんな友達に食後のポテチを出してやり、ささっと後片付けした。
「でさ、結局DVD何レンタルしたんだ?」
笠原の問いかけに加賀見は「その質問待ってました」といわんばかりに得意げににんまり笑った。
「これです!!」
「これって……何も書いてねーじゃん」
「海賊版とか?」
「無修正AVです!!」
「……チッ。アクションかアニメの気分だったのに」
「無修正? 本当に?」
「にーちゃんからのプレゼントなのです!!」
加賀見はおっちょこちょいな性格であり、よく兄にからかわれているという話は何度も耳にしてきた。
笠原と紙屋は意気揚々とディスクをセットする加賀見の背後で顔を見合わせる。
「動物の交尾だったりして」
「虫系かも」
さて映像が流れ始めた。
二人が懸念した動物や虫の交尾ではなさそうだ、ちゃんと人間が出演している。
しかし妙だ。
五分経過しても、女性が、出てこない。
普通の大学生っぽい男三人が画面を牛耳るばかりだ……。
「これさぁ」
「ほも?」
「……またにーちゃんにやられた」
意気消沈する加賀見の背後で笠原はクッションを抱いて舌打ちし、紙屋は眼鏡をかけ直して苦笑した。
「どーすんだよ、このまま見てたらほもえろ始まんじゃねー?」
「とりだめしてるアニメでも見る?」
「あ、見たい」
「やだ! アニメやだ! 生身がいい!」
「んじゃあ駅前まで行ってレンタルしてきやがれ!」
「めんどくさい! ……あ」
三人がぎゃあぎゃあ話し合っていたら画面上の物語はいきなり急展開を。
『あ……はぁ……ん』
『は……っは……っ』
『ふは……ぁ……』
すごい勢いでぶちゅぶちゅ男三人でキスしている。
リビングにいた男子三人はぴしっと固まった。
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