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小ネタ-カ行トリオでホラー映画鑑賞

「観たい映画があるんだけど」 「なに? アニメ?」 「どんなの!? えろいやつ!?」 アニメでもえろいのでもないと、紙屋は首を左右に振る。 「ホラーなんだけど」 ホラーと聞いて笠原の顔は引き攣り、加賀見は「へー」と何でもないように相槌を。 「笠原ってそういうの苦手だよね?」 「え」 「アニメでもぐろいの、見ないでしょ?」 「あんま、り」 「ホラーいいじゃん、ホラー見て熱くなりたい!」 げ。 加賀見と紙屋、二人で映画になんか行かせられるかよ。 加賀見には年上の「渉さん」って恋人がいるけど、加賀見のくせ順調みてーだけど、それでもやっぱ二人で行かれんの、ヤダ。 てか普通夏に見るもんだろ、何がホラーみて熱くなりたいだ、加賀見の変態。 変態加賀見がホラーで興奮して隣の紙屋に何するかわからん、うぇ、想像しただけで腹んなかグルグルする……ッ。 「俺も行く」 「ほんと? よかった、嬉しい」 紙屋に嬉しがられて笠原は内心どきっとしながらも「ヒマだし、ホラー苦手なだけで本気で怖いわけじゃねーし」と強がりを述べた。 映画当日。 「お前なぁッ、加賀見ッ! ポップコーンにポテトにホットドッグって、買い過ぎだろーがッ、しかも一人でドリンク二つかよ!」 「だって映画中って腹へるし喉乾くんだよ~」 「こっちにドリンク置くな!俺のが置けねーだろッ」 「こっちに置いていいよ、笠原」 加賀見、笠原、紙屋の順番でシートに座った三人。 そして映画の始まり始まり。 本編開始から五分も経たずに、笠原、顔色をどんどん悪くしていった。 マ、マジですか、紙屋、コレが見たかったんですか……? お前の人格疑ってもいいですか……? うわッ、怖ッ、グロッ、血がッ血がッ。 むしゃむしゃむしゃむしゃ 隣で平然と食事を続けながら映画を観ている加賀見にドン引きする笠原。 反対側の隣では真剣にスクリーンを見つめている紙屋。 ぶっちゃけもう帰りたい、帰ってアニメ見たいです。 クライマックスに向けて映画はどんどん過激になっていく。 笠原はどんどん追い込まれていく。 「ひッ」 びっくり効果音に素直にびっくりした笠原、つい、隣の腕にしがみついてしまった。 か、か、紙屋ぁ、怖いよぉ、これすっげー怖いよぉ、夢に出そうだよ! お前平気なの? 今日頭洗うとき後ろ振り返れないレベルだよコレ! 夜、迂闊に鏡見れないレベルだよ! しがみついたまま、少しでも動けばお化けに注目されると思い(?)、頑なに目を閉じて固まっていた笠原。 そして映画は終わった。 「笠原、終わったよ」 「あ……っあー終わったんだ?(ブルブル)そ、そんな怖くなかったな、てかつまんなかったし!」 「笠原ぁ、腕痛いよ!」 「えっ!げっ!」 てんぱり過ぎた笠原、紙屋ではなく、加賀見の腕をぎゅううううっとしていた。 「おっお前ぇぇ……ッ加賀見のバカ変態がッ!」 「えっ? なんで俺が怒られんの!?」 「まだ知らねーオッサンにしがみついてた方がマシだッ!」 「……しがみつかれなかった俺はバカ変態の加賀見より、知らないオジサンより、それ以下ってことだね、笠原」 「ちッちがッ、紙屋……ッ!」 やっぱりホラー映画は苦手なビビリ笠原なのだった。

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