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10.神降臨

 加賀谷さんの靴……っ!  眼は放るように脱ぎ落とされたそれにロックオンしてる。  だってコレって……!  たった今脱いだばかり、てことは加賀谷さんの体温残ってるよね! しかもたっぷり汗含んだ香りも堪能でき……うああ尊すぎて語彙力草!!  なになに、なんのご褒美!? てかコレ好きなだけ匂っていいってコト? いいってコトすよね! ……て、やべやべ、加賀谷さん行っちった急がねえと。  むりやりテンション落ち着かせ、けど落ち着ききらねえまんま『208加賀谷』と書かれてる靴箱にフレッシュな香りごと靴を奉納。いや、体温とかはちょいもらった。手ツッコんで香りもちょい堪能した。  やべえって下半身直撃な香りだって……! とか思いつつ階段登る。208号室のドアは開いてた。加賀谷さんの姿は見えない。  てか、えっ!?  まさかのプライベートな部屋お招き!? てコトっ!?  ワクワクで中をのぞくと、  キターーーーーッ!! 生着替えーーーっ!  なになになになに、今日はいきなりご褒美山盛りスかマジすか!?  感動をよそに、素早くTシャツとジャージに着替え終えた加賀谷さんがこっち見た! ちょい厳しい目でっ!! 「かっ……かっ……」  神かっ!? 神々しくて眼が潰れそう……っ!! 「なにしてる。早く入って閉めろ」  こっち見て、おおおおおおっ! ベッドに座ったーーーーーーーッ!!!!  またまたまたっ!! またまた来たコレっ!!!! ナンカじわっと涙が……っ!  交流合宿で声かけてから苦節三週間、とうとう報われるって! そういうコトだよねっ!   だってホラ!  ちょい眉寄せてこっち見てる、その顔はアレすかっ!? 『オ・ネ・ガ・イ』とか言いたい感じスかっ!?  あーーーーっ!! 今日いつもより輝いてなかったのって、もしかしてエロいこと考えちゃってたとかっ!!  そっかそっか、だよね加賀谷さんだって男なんだしっ! まえ屋上でおさわりしたしっ! ついついエロいこと考えちゃって気もそぞろ、とか……えっ! てことは!  加賀谷さん溜まってる!? 溜まってて『早くして』な状態ってコトかーーーーーっ!!  だよね、じゃねえとおかしいよねっ! 加賀谷さんが輝かないなんてさ! あ、今ちょっとうまいこと思った俺!  てかそれどこじゃねえ、加賀谷さん溜まってンだから! そんで待ってんだから、ここはドーンとしねえと! ちゃんとヤるよ! 任せて下さいっ! 「かっ……加賀谷さん……っ!」  ヤバイ感激で声震えるっ……!! 「…………」  若干震えてる足で、ンでもできるだけ余裕な顔作って一歩ずつ前へ。  したら鋭い目も神がかってる加賀谷さんの手がスッと上がった。こっちじゃなくて、机の方に。 「えっ!?」  指は、備え付けっぽい勉強机、の上に鎮座ましますパソコン。……を、指してた。 「そこに映せ」 「え、あ」  手に持ったままだったカメラ持ち上げ首傾げると、加賀谷さんは黙ったままコックリ頷いた。 「………………あ~~~~……」  そっかぁ~……エロいことじゃない……かぁ……  てかあの机って椅子引いたらすぐベッドの距離感だもんなあ。他に座るトコねえし。いかにも加賀谷さんの部屋らしく、余計なモノ一切無い部屋をぐるっと見回し、盛大なため息が出る。 「はぁぁぁぁ~~~~~……」  てか、つまり撮った動画を見たかった、だけかあ…… 「早くしろ」 「はぁい」  盛り上がりすぎた反動で力抜けまくりつつ、カメラから抜いたカードをパソコンに挿した。

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