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斑鳩SIDE 2

「おはようございます、斑鳩」 「おはよ、(うい)」 星流のお陰で久し振りに友達が出来た。 クラスは1年から持ち上がりだし、役員とは仲良くなれそうになかったから、新しい友達が出来るなんて考えてもいなかった。 副会長こと、初と仲良くなれたお陰で生徒会の中での居心地もマシになった。 以前は殆ど生徒会室に顔を出さなかった会計に初が怒ってくれて、今では芹生会計みたいに先に作業を終わらせてから部活に行く様になった。 部活の時間が減ったぁって嘆いてるけれど、我慢して貰おう。 そうしないと俺の睡眠時間が確保出来ない。 少しずつだけど会長も気を許し始めたのか、前よりは砕けた感じになってきた。 仕事の負担が減り睡眠妨害もなくなったし、良い事尽くめだ。 勉強もノートのコピーと星流達のお陰で順調だ。 が、色々と余裕が出来てきて浮かれていたからか、大事な事を忘れていた。 星流はずっと一緒に居てくれて、何をしても許してくれる。 何でもしてくれるし与えてくれる絶対的な存在。 沢山気持ち良い事教えてくれた。 途中からワケ分かんなくなって、かなり酷い抱き方をしてしまったけれど、仕方ないなぁって笑って受け入れてくれた。 だが、それは自分の勝手な思い込み。 星流は大好きな俺の飼い主だけれど、俺の恋人ではない。 どんなに大好きでも番にはなれないんだ。 それを無理矢理分からせられたのは、夏休み明け直ぐの事だった。 星流が廣瀬さんの正式な番になった。 αとΩが番になるには、結ばれてる最中に項を噛む事が条件だ。 それはつまり夏休みに星流は廣瀬さんに抱かれて番契約を結んだ事に繋がる。 一度結ばれた契約はαからしか解消出来ないし、してもΩはその後一生誰とも番になれない。 αからの番契約は何回も可能だが、Ωにとっての番契約は一生物。 生きてる間に1回しか出来ない。 元々二人は運命の番で婚約者だった。 分かってはいたが、実際に番になられたら絶望しか感じなかった。 俺同様、芹生会計も激しく落ち込んでいたが 「星流を幸せにしてあげて下さい」 泣きそうな笑顔でお祝いの言葉を口にしていた。 大人だ。 俺には無理。 哀しいし、寂しいし、悔しいが、だからといって星流から離れる気はサラサラない。 世界中何処を探しても、星流以上に好きになれる人は居ない。 運命の番? そんなもん関係ない。 好きなものは好きなんだからどうしようもない。 諦める方法なんて知らないし、知りたくもない。 星流が好き。 星流じゃなきゃ嫌だ。 一生側に居る。 改めて心に誓った。 因みに結婚式は、盛大にクリスマスにするらしい。 結婚式・披露宴の後、二次会もあり、漸くその後身内だけでお祝いが出来る。 その時に俺と芹生会計もゆっくり星流に逢える。 クリスマス。いつもは楽しみだけれど、星流の結婚式かぁ。 素直に喜べないのは仕方ない事だよね? 憂鬱になった。

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