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第17話
「この勝負に勝ったらアキトが僕の望みを聞いてくれる、負けたら僕がアキトの欲しいものを何でもあげる」
「俺が勝ったら、リカルドの言うことを聞くのか?」
意外な提案に加賀美の目が丸くなる。
「そう。勝ったらいい気分でわがままを聞いてくれる気になるだろ? 負けたらつまらない気持ちになって欲しくないから、僕からプレゼントをするよ」
王子様の考えは独特だ。
負けたら言うことを聞け、というのはプライドが許さないのか、それともさっき言った通り気分よく賭けをするための方便なのか。
加賀美は笑って了承した。
二人の会話が聞こえていたか知らないが、ディーラーはツキをくれる気になったらしい。あるいはリカルドが何者か気づいていて、最後にサービスを取っておいたのかもしれない。
からんからんと軽すぎる音で黒の17にボールが入った。
「おめでとうございます」
カラフルなチップの山が寄越された。
粋なディーラーに十分なチップを残して換金を頼み、加賀美は席を立った。
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