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第26話
リカルドが持参した日本酒で乾杯する。
涼しげな江戸切子の中身は加賀美が贈った日本酒だ。
一口飲んで、それに気がついてにっこり笑う加賀美は、何かたくらむ顔つきだ。
「アキト。これ、単なるプレゼントじゃないんだろう?」
「いや、プレゼントだよ。俺とセットでね」
繊細な切子グラスを傾けるリカルドの手が止まる。
つまり…?
まじまじと加賀美を見つめるリカルドに、思わせぶりに微笑んですいっと酒を飲みほした。
「アキト、素敵だ…」
初めて見る加賀美の裸体に、リカルドはため息をついた。
加賀美は出し惜しみしなかった。今まで散々焦らしたのが嘘のように、リカルドの求めに応じて素直に服を脱ぎ捨てた。
料理人は意外に体力勝負だ。食材や料理がたっぷり入った鍋など重い物も運ぶし、長時間の立ち仕事で自然に鍛えられている。
きれいに筋肉のついた細身の体にリカルドは隅々まで口づけて、舌でも手でも味わった。
どういう風の吹き回しなのかは知らない。
熟成期間が終了したのか、あるいは何度かデートして「それなりに知り合った」と認定したのか。もしかしたら、ただの気まぐれということもあるだろう。
何でもよかった。
欲しかったごちそうを目の前に出されて、手を出さないほどリカルドは我慢強くはない。
「あ、はっ…、もっと」
加賀美は両腕を巻きつけてリカルドの体を引き寄せた。
「もっと? こう?」
「んっ、あ…」
首筋から鎖骨へと口づけを落とす。
リカルドの情熱的な口づけにいくらでも応えてきて、奔放に快楽を得る姿に嫌でも煽られる。素直に感じて目元を染めた表情が、壮絶なくらい色っぽかった。
「あ、あっ、リカルドっ…」
喘ぎ交じりに切なく呼ぶと、ぐっと力強く突き上げられた。
焦らした反動なのか、リカルドは性急に求めてきた。初めて会った時の上品な口づけより、今みたいに荒々しくされるほうが加賀美の好みだ。
ほらね、熟成させたほうがうまくなっただろ?
もっと強くねだって来いよ。
加賀美の上から両腕をついたリカルドに微笑みかけて挑発すると、リカルドは噛みつくようなキスをした。
淫らな音が部屋に響く。奪い合うようなキスを交わしながら、加賀美の体を奥まで暴こうと腰を打ちつける。
初日に寝ていたら、きっとこんなセックスじゃなかったはずだ。
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