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事のはじまり①

台風接近のお陰で、延期になっていた学園祭の日程がハロウィン当日に決まった。 メインは、クラス対抗ファッションショー。 あみだくじで、まさかのバニーガールを引き当ててしまった。 「(こころ)に適役じゃないか」 「絶対似合うぞ‼」 「マジか・・・」 自失呆然とする僕をクラスメイトがひやかす。一番ニヤニヤしているのは、学年主任の神山だ。担任の畠先生が二学期から産休に入り、代わりにクラスの担任になりやがった。『このエロオヤジ‼』睨み付けると、 「担任にそんな口を聞いていいのかな⁉大橋くん」 絶対語尾にハートマークが3つくらい付いてる。そんくらい甘~~い声。背筋がゾクゾクしてきた。 「じゃあ、聞きます。担任が、生徒に手を出してもいいんですか⁉」 神山の眉がぴくぴくと動いたのが分かった。ざまぁーみろ‼さぁ、どう答える。 「そりゃあ、だめに決まってるだろうが」 この期に及んでしらを押し通す気か。 「うちの学校に格好いい先生っていったら、吉川先生以外いなくない⁉」 「そう、そう」 クラスの女子が騒ぎ始めた。吉川先生は、保健室の男の先生。 「てか、普通バニーガールって女子だろ⁉」 「今は男女均等です。それに、心って、女顔だから、案外似合うかも」 「絶対可愛いよ‼」 「うちのクラス、今年は優勝間違いないかも‼」 「マジか・・・」 女子たちに押し切られ、結局、バニーガールの仮装をすることになってしまった。 神山は、相変わらずニヤニヤしっぱなしだし。 無性に腹が立つ。

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