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第1話

「初めまして。東堂 白羽です。よろしくお願いします。」 なんで……。 なんでここに白羽が…。 「この時期に転校してきてお互いに大変だろうが仲良くしてやってくれ。」 そう説明する担任の言葉なんて耳には入らない。 まって、 なんで、 どうして、 僕にはもうそれしか出てこない。 「じゃ、ホームルームは終わり。東堂の席は窓際の後ろな。 このまま授業始めるぞ。」 そう言われ歩いてきた彼は入院当初のまだ幼い面影がすっかりなくなっていた。 身長は伸びて僕とほとんど変わらないのではないだろうか。 それに声も変わってる。 窓際に向かって歩く白羽。 一番後ろから2番目に座っていたのは 僕だ。 そのまま授業が始まるが頭に入らない。 それもそうだろ。 もう会わないと決めていた恋人が向こうから会いに来るとは思わなかったんだから。 いや、僕に会いに来たとは限らない。 編入したらたまたま僕のいる高校だった。 そうにちがいない。 だったら、知らないふりして過ごせばいいことだ。 白羽はまだ教材が揃っていないのか隣の女子と机を併せ授業を受けている。 だめだ。 本当に授業に集中できない。 これからは受験が控えてるっていうのにどうしたら。 *** そんな…。 もう1日終わった…。 結局、僕がうだうだ頭のなかでずっと考えてただけで、 白羽は話しかけてこなかった。 いや、かけられなかったのかもしれない。 授業が終わる度に白羽のまわりには人が集まってた。 もうすでに人気者だった。 それもそうだ。 あのコミュニケーション能力に綺麗な顔 スラッとした体。 肌は透けるような白さ。 誰が見ても理想の男だった。 それに頭もいい。 聞こえた会話によると遅れをとらないために高3の2学期の範囲まで勉強してたそうだ。 やっぱり白羽は凄いなぁ。 僕とは大違いだね…。 「おい、誠、一緒に帰ろうぜ‼」 「え?」 驚いた。先程まで僕とは違う誰かとずっと話してたが、もうその誰かすら振り切り 白羽は僕に話しかけた。 「すみませんが僕は部活があるので…。」 「は?なんだよそのよそよそしい態度。」 「そ、それじゃぁ‼」 急に話し掛けられたから知らないふりうまく出来なかった。 「んだよ。あいつ。嬉しくねぇのかよ。 俺はこの日のために頑張ってきたのに。」 その言葉は僕には聞こえず、 「白羽君は黒田君と知り合いなの?」 と声をかける隣の席の女子、 「そうだよ、小学の時にな。」 「彼とはあまり話さない方がいいよ。 このクラスのみんな、彼と距離おいてるから。」 「……は?…」 もちろんこんな会話も聞こえてない。

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