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第2話
(おかしい … )
フィオレオは自身の体調の変化に、戸惑っていた。
ガットが渡してくれたチェルノのフルーツ酒を飲み他愛ない話をしながら昼食をとっている内に、フィオレオは体が熱くなってきていた。心臓が高鳴り、息があがる。頭もなんだかボーとしてきて、ふわふわとした心地だ。
しかも、ガットの様子もなんだかおかしい気がする。褐色の肌だからあまり分からないが、全身が少し赤くなっているようだ。それに、半裸で曝け出されているガットの乳首も、心なしか普段より尖って見える。ドキドキが、段々ムラムラとした感覚に変わっていった。
バターナイフを取ろうとして、ガットと手が触れた。触れた先がやけに敏感になっていて、ゾクッと甘い痺れが走り、思わず「ンッ」と声をあげてしまった。自分のあまりの声にハッとして除けようとした手を、ガットに掴まれてしまった。
「 … なんだよ、すげぇ可愛い声が聞こえたけど?」
「え、あ、そ、その、僕、ななななんか、体調悪く、って … っン!」
形の良い指が、フィオレオの手を撫でる。骨の形を確認するかのように、凸凹しているラインをゆるゆると行ったり来たりする。たったそれだけの刺激に、体の中心が反応をしてしまった。やや無理にガットの手から離れる。
「体調悪いって … どんな?ん?言ってみろよ」
ガットは楽しそうに口元を緩ませ、机の下から長い足先を伸ばし、フィオレオの足を撫でた。これは確実に、弄ばれている。
「~~~っっガット、な、何かしましたね?!」
「ああ、媚薬」
さっきから飲んでいる瓶を持って、チュッと飲み口にキスをするとガットは慣れた様子でウインクをしながらさらっと真実を述べた。
「び、媚薬っっ!?」
普段聞き慣れない言葉に、ぎょっと目を剥いてフィオレオは驚いた。
「なななんで、そんなものを … っ?!」
「露天商の親父がイイモンあるっつーから、買ってみたんだよ。ど?媚薬の効果。バッチリ効いてるみてぇだけど?」
「効いてるも何もっ、解毒薬 … っあ、回復魔法を … っ!」
「あ、無理無理。これ、裏もんだから。解毒薬ねぇし、お前の回復魔法じゃ無理だから」
「じゃ、じゃあど、どうするんですかっ?!」
「どう…って、お前。これ、『媚薬』だぜ?」
ガットが、それはそれは妖しく艶を帯びてクスリと笑う。
「出すもん出せば、スッキリするぜ?」
慇懃な足先がズボンの上からフィオレオの反応し始めた中心を捉え、瓶の先をガットの真っ赤な舌が上下にやらしく動く。
昨夜の行為を思い出されて、腰が疼く。
「っ、 … 」
「なぁ、ベッド。行こうぜ?」
―――ああ、こんな日中からそんなことする場合ではないのに。
そう思いつつも本能に塗り潰された体は、意思と裏腹にベッドへ足を向けていた。
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