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プロローグ
この物語は
鈴木亮太(スズキ リョウタ)26歳
177cm、65kg、なんてったってイケメン。
が、ただただ5人の男達に好かれ、
迫られるお話です。
『いらっしゃいませ。ご出金でございますね。』
この銀行に勤め始めて5年目に突入した。
大学在学中に見事に就活に失敗した俺は、フリーター生活をスタートさせる気満々だった。
卒業後、なんとなく入ったハローワークでこの銀行の求人を見つけ、受けてみたら見事採用されたのだ。
銀行なのにハローワークで求人って…
そう思ったが、地方の銀行でさほど大きくない分パートさん達も多くて、ハローワークでの求人もわかるかな?なんて。
堅くなさすぎず、ほんわかとした雰囲気の地銀だ。
『鈴木さん、今日も頑張ってね。』
『ありがとうございます。』
地方の銀行ということだけあって、来るお客様のほとんどが常連さんだ。
『じゃぁまた来るわね。』
『ありがとうございました。』
窓口からお客様を見送り、自分の仕事についた。
『ごめん、鈴木電話出て!!』
忙しそうな後方担当から言われ、慌てて電話に出る。
『ありがとうございます。ーー銀行ーー支店、窓口担当鈴木でございます。…はい。一ノ瀬ですね。少々お待ちください。』
保留を押し、受話器を置く。
『一ノ瀬支店長、2番にお電話です。』
『ありがとう。』
電話の取り次ぎが終わり、自分の仕事に取り掛かる。
窓口担当と言っても、ただお客様を接客していればいいわけではなく、デスクワークもたんまりあるのだ。
なんとか午前中に仕上げないといけないものは仕上げ、昼食に立つ。
『お昼お先です。』
隣の窓口の女性社員に声をかけ、ロッカールームへ寄ってから食堂へと向かう。
さほど大きくない銀行のせいか、食堂はあるが社食はない。
だから昼は持参だ。
一年目、二年目はコンビニ弁当で過ごしていたが、あまりにも出費がかさむので3年目からは弁当男子へと転身した。
最初は億劫だった弁当作りも毎日していると慣れてくるどころかハマってしまって…
最近では、女性社員に「すごい!!」と褒められるほどの腕前になった。
『鈴木、昼?』
『あっ!!はい!!二間さんは?ってまだ無理そうですね…』
『だな。この書類仕上げてから…』
どっさりと手に書類を持ちながら廊下を歩き、二間さんは自席へと戻って行った。
食堂に入ろうとしたところで声をかけられた。
『鈴木さん!!一緒に食べませんか?』
『おう!!三好か。お前外回りは?』
『今日はたまたま昼のアポなかったんで、ここで食べようかな…と。』
『そうか。じゃぁ一緒に食べるか。』
そう言って食堂で弁当を広げる。
『うわ!!すごいっすね!!それ本当に鈴木さんが作ってるんですか!?』
『そうだけど…』
尊敬の眼差しで見つめられ少し照れる。
『今度作り方教えてやるよ!!』
『ぜひ!!』
一通りの会話が終わり、弁当を食べ終えると俺は事務所へと戻った。
窓口は昼休憩が交代制なのでそんなにゆっくりできない。
『お先でした。』
『はぁい。』
そう言うと隣の窓口の女性社員が席を立った。
昼休憩の銀行は近くのOLさん達でごった返している。
自分の昼休憩の間に出金に来たり、入金に来たり…
そのおかげでこっちは昼休憩も満足に取れない。
13時になりだいぶ空いて来た店内に元気な声が響く。
『宅配便です!!』
いつも来る宅配便屋さんが俺の窓口へと足を進める。
『鈴木さん、ハンコお願い。』
『四谷さん、いつもお疲れさまです。』
労いの言葉をかけながらハンコをつくと、また元気に挨拶をして帰って行った。
一ノ瀬支店長宛の荷物を不在の支店長の机の上に置いて、俺は窓口へと戻る。
『いらっしゃいませ。』
『この前の融資の続き。』
『五反田様、お待ちしておりました。こちらへどうぞ。』
壁で囲まれたローカウンターへと案内する。
『融資の件、どう?』
『今、上司の決裁待ちです。もうしばらくお待ちください。』
『じゃぁ今度来た時はいい返事聞けるかな?』
『そうなればいいのですが…』
一通り話が終わり、席を立つ五反田様を見送る。
『ありがとうございました。』
深々と頭を下げ、俺は自席へと戻った。
毎日がこんな風に過ぎて行く。
なんの変哲もない、平凡な毎日。
だったハズなのに…
神様、俺はどうしてこうも男に好かれるのでしょうか……
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