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『お世話になっております、ーー銀行ーー支店、窓口担当の鈴木でございます。五反田社長様はいらっしゃいますでしょうか?』
「少々お待ちくださいませ。」
変にポップな保留音に耳を澄ませ、相手が出るのを待つ。
「もしもし。五反田です。」
『ーー銀行の鈴木です。いつもお世話になっております。』
「こちらこそ。」
『只今融資の件、実行いたしましたので、また確認の方よろしくお願いいたします。』
「ありがとう。」
『では、失礼いたします。』
「待って!!」
『はい?なんでしょうか?』
「今度ご飯行かない?」
『えっ!?』
「今仕事中だからまた教えてもらった携帯番号に電話するよ。じゃぁね。」
そう言って一方的に電話が切れてしまった。
またしても新手のナンパ?
昨日の三好の件があり、周りの男達に俺は警戒を始めた。
いや、でもまさかな…
『宅配便です!!!』
元気な声がして入口に目を向けると四谷さんが大きな荷物を持っていた。
『鈴木さん!!ちょっと手伝ってもらっていい!?』
『あっ!!はい!!』
そう返事をして慌てて四谷さんの元に駆け寄った。
『悪いね。伝票一式とか書いてあるんだけど、重すぎて…』
『いえ、こちらこそすみません。』
『どこに運べばいい?』
『じゃぁ、裏の倉庫に。』
そう言うと、二人でよいしょと荷物を持ち上げ、倉庫まで運ぶ。
『ありがとう。助かりました。』
『いえ。』
『で、ここからはプライベートな話。』
『は?』
『明日休みだろ?空いてる?』
『空いてるっちゃ空いてるけど…』
『けどなんだよ?』
『いや、別に。』
『メシ行こうぜ。』
『まぁ、いいけど。』
『よし、決まり。じゃぁ11時に○○駅で。』
『あっ…昼?』
『夜がよかった?夜にするか?酒ありで。』
『そうだな…お前と飲んだことなかったし、それもいいかも…』
『だな。俺らつるんでたのって高校生の頃だもんな。よし!!じゃぁ18時に○○駅。どう?』
『了解。』
そして俺は窓口へと戻った。
久しぶりのメシになんだか緊張する。
できることなら昔のような関係に戻れたら…そう思っていた。
なんでも話せる友人。
当時その一人として、俺は四谷さんが好きだった。
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