『で、どんなキスですか？』 『ど、どんなって!?』 『チュッと触れるだけのやつとか、ベロチューとか。』 『ベ、ベロチューって…』 『で、どっちですか？』 『り…両方？』 『両方!?2回したってことですか!?もう!!何してんですか!!!』 ごもっともな怒鳴りをいただき、俺は反省する。 『はぁ…鈴木さん。隙ありすぎなんですよ。』 『隙？』 !? 首を傾げながら隣に座る三好を見た途端に床に押し倒されてしまった。 『ちょっ…!!なに!?』 『ほら…隙だらけ。』 俺を上から見下ろす三好の顔はなんだか寂しそうだ。 『わかった…俺が悪かったから、どけって。な？』 『嫌です。』 『はぁ？』 『鈴木さんがチュウしてくれるまでどきません。』 『チュ…チュウって…』 『嫌ですか？』 『嫌ですか？って…』 『支店長とはして俺とはできませんか？支店長のことが好きなんですか？』 何言ってんの？コイツ。 と思うのに、なんだか拗ねている三好が可愛く見えて… 俺、ほんとビッチだなぁ…と思いながらも三好の唇をそっと指でなぞった。 『鈴木さん…』 『キスしたいなら、お前からして…』 そう言うと三好は俺の頬に手を添える。 そして、ゆっくりと顔を近付けて、チュッと触れるだけのキスを落とした。 『うわ…鈴木さんとチュウしちゃった…』 ニヤニヤと笑いながら自分の顔を手で覆い、俺から離れた。 お、終わり!? 支店長の時と同じく、拍子抜けした俺は呆然とする。 『鈴木さん!?どうしました!?そんなに嫌でしたか!?』 半泣きの三好が「ごめんなさい」と何度も謝りながら俺に頭を下げる。 『いやいや、そんなに謝んなくていいから。』 そう言いながら三好を宥める。 なんだこれ？ 誰だよ。三好を床上手って言ったのは。 なんだか可笑しくて笑ってしまった。 『鈴木さん!!俺に脈はありますか？』 『うーん。わかんねぇ…だけど、ちゃんと考えてるよ。』 『マジすか!?よーし!!頑張らなきゃ!!』 何を頑張るのかわからないが、やけに張り切っている三好にまた吹き出してしまった。 コイツ可愛い… 少しずつ三好に靡いている自分がいることに焦る。 だけど、じっくり考えないと… そう思った。 『お邪魔しちゃってすみませんでした!!』 『いえいえ。』 『また来てもいいですか!?』 『いいよ。』 俺は、嬉しそうに頭を下げて帰って行く三好を見送った。