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病院に着き、ナースステーションを覗いた。
『すみません、四谷健太郎さんの部屋は?』
『お見舞いの方ですか?305号室です。そこにお名前だけ書いておいてくださいね。』
それだけ言うと、看護師さんは慌ただしく走って行ってしまった。
結局、連絡もせずに来てしまった。
そもそもなんで見舞いなんて…そう思うが、なんだか放っておけなくてここまで来てしまったのだ。
というか、これもビッチの一部なのだろうか?
俺は健太郎に告白されたわけで…
でもその気持ちに応えるつもりは今のところないのにこうやって見舞いになんか来て。
それって期待を持たすだけなのかな…?
そう思うとなんだかいたたまれなくなって、一旦握ったドアノブを離した。
『あれ?亮太?』
名前を呼ばれ、声のする方に顔を向けると、そこには健太郎の姉ちゃん、里奈(リナ)がいた。
『久しぶりだね。いつぶりだろ?』
『い、いつかなぁ?別れてから会ってない…よな?』
久々の元カノとの再会になんだかドギマギしてしまっている俺。
なんやかんやで、フラレたのはショックだったんだよなー。
だけど、フラレた理由が子供っぽいからって…
まぁ、あの当時は高校生でしかも里奈の方が年上だったから無理もないか…
『健太郎のお見舞いに来てくれたの?』
『あ…うん、そう。だけど…』
『だけど?』
『いや、帰ろっかなぁ…って。』
『えっ?なんで?入ってよ。』
そう言うと、里奈は病室の扉を開けて俺を中へと押し込んだ。
『亮太⁉︎』
『お、おう…』
俯きながら手を上げると、里奈に奥に入れと後ろから背中を押された
『あっ…これ。』
『ありがとう。わざわざごめんね。』
手土産に持ってきたプリンを里奈に渡し、ベッドの横に置かれた椅子に腰掛けた。
『怪我は?大丈夫なのか?』
『………。』
『健太郎?』
『あれー?亮太、これスプーン入ってないけど?』
『えぇっ⁉︎あの店員入れ忘れたんだ…なんかボケーっとしてたしな。』
『何その店員。まぁいいや。ちょっとスプーン取ってくる‼︎』
そう言って、里奈は部屋を出て行った。
『なぁ…』
ボソリと健太郎が呟く。
『ん?』
『お前さぁ、まだ姉ちゃんと繋がってんの?』
『はぁ?なんで?』
『いや、だって一緒に…』
『あぁ?ないない‼︎たまたま外で会っただけ。』
『そっか…』
『何?もしかしてお前妬いてんの?』
あっ…
なんかいらないこと言ったかも…
健太郎が俺の顔をジッと見つめる。
『な…なんだよ。』
『妬いてる。』
『は、はぁ⁉︎俺、冗談で言ったんだけど…』
『お前さ、まだ姉ちゃんのこと好きなの?』
『んなわけねぇじゃん。』
はぁ…と溜息をつくと、健太郎は布団の中へと潜った。
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