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第5話

「まさ、き…。苦しい。」 「ん?だめ…?」 あぁ、もう。何なんだよ。 さっきから真咲が俺を抱きしめて離してくれない。 「だめ、じゃない…。」 俺は、真咲の首に顔をうずめた。 真咲の匂い…。 幸せな気持ちに浸っていると、真咲の携帯に着信が来た。 「あ、真琴。ちょっとごめん。」 そう言うと真咲はスッと立ち上がった。 やだ、いかないで。 「だれ。」 「うん?友達だよ。」 そのまま真咲は俺のそばを離れようとした。 パシッ! 俺は咄嗟に真咲の腕を掴んだ。 「俺より、そいつをとるの?」 少しの沈黙のあと、真咲が口を開く。 「ごめん。」 たった一言。俺に残して真咲は外に出た。 俺は、浮気相手に負けた? 俺の存在って、真咲にとって何なんだよ...!?

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