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第6話

もう、嫌だ。 なんで俺は浮気ばっかりされなくちゃいけないんだ。しかも浮気相手に負けるなんて…。 どっちが浮気相手なのかわからないじゃないか。 「――――。」 ドアからは真咲が話す声が聞こえる。 はぁ、やだ。聞きたくない。 でも、気になる。もしかして『愛してる』とか、言ってるのかな。 ただ、ひたすら泣きたい気分だ。 俺はパーカーに着替え、靴を履き、ドアを開けた。 「ちょっとごめん。」 真咲が電話相手にこういって電話を切った。 「真琴、どこか行くの?俺も行こうか?」 「やめて。付いてこないで。」 なんで俺はこんなに冷たく突き放してしまうのか。 目の前には驚いて、少し悲しそうな真咲の姿があった。

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