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がたん……ごとん…… 雄太は自分の制服のファスナーに手をかけた。 じぃぃぃ~…… 下ろしきると、次に、弱い力しか込められなくなっていた彼の左手を。 自分のボクサーパンツの中に突っ込ませた。 「このままいきましょう?」 痴漢役のはずがやたら甘い囁きになってしまった。 逃げかけた左手は、耳元に吹き込まれたそれを聞くなり、観念したようだ。 後ろ手で難儀しながらも雄太のペニスを扱き始める。 雄太もまた彼の下着の中にやや乱暴に手を戻すと扱き始めた。 うわ、どうしよう、気持ちいい、和泉さん、和泉さん……。 言葉にできない代わりに、うなじに擦り寄り、首筋を甘噛みし、耳朶を舐め回す。 緊張した、ぎこちない手つきが却って刺激的で。 しかも、普段には感じられない、小さな違和感が指先にあって。 冷たい感触のそれがいつにもましてペニスを過敏にした。 ああ、だめだ、もう出そうです、いっちゃいます、和泉さん!! がぶっ とにかく声を抑えるために雄太は首筋にかぶりついた。 「っっ…………!!」 着衣が不快に濡らされる、満員電車で射精した世にもカ・イ・カ・ンな心地に雄太は腰を痺れさせた。 絶頂の勢いに任せて彼のペニスをシコシコしまくった。 「ぅ…………!!」 雄太の手により彼も膨れ上がったペニスから着衣に向かって精液を弾いた。 がたん……ごとん…… 雄太は彼の肩に額を押しつけて上擦る呼吸を殺していたのだが。 自分の下肢から離れた彼の左手が視界に写り込んで「ん?」と思った。 左の薬指に指輪が…………。 とんとん カ・イ・カ・ンな心地も絶頂の余韻もどこへやら、雄太は、冷水を浴びせられたかの如く一瞬にして青ざめた。 ありとあらゆる不吉な恐れに想像を巡らせながら、ゆっくりと、振り返る。 「え」 そこには正面にいるはずの和泉がいた。 「え?」 「まさか間違えるなんてね」 「ああぅぅ、ごっごめんなさぃっっ」

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