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初恋は一目惚れ
俺が大学生の頃、生まれて初めて人を好きになった。
女の子から告白されて、お付き合いというものもしたことがある。
その子はとても可愛くて、優しくて料理上手で、男から見たら理想的な女性だったと思う。
でも、恋愛ドラマや映画、小説のように恋する人が陥る、四六時中その人ことばかり考えて、夜も眠れない。会える日は楽しみすぎる。
そんな感情はどうしても理解できなかった。
できなかったというより、そんな気持ちになるほど一人の人を好きになったことがない。
その子も俺のそんな感情を読み取ったのか、1年もしない内に彼女から別れを切り出された。
俺は一生、恋というものは経験せずに生きていくのだろうと漠然と思っていた大学時代。
バイト先の高級食品を取り扱ったスーパーで、お客さんとしてやって来た男性に俺は一目惚れしてしまった。
長身の綺麗な顔立ちの人だった。まさか、自分が男性に一目惚れするなんて思わなかった。
彼が俺のところのレジに必ず並んでくれる。ただそれだけで幸せだった。「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」そんな義務的な言葉を言うのも緊張する。
でも、彼と俺はただのお客さんと店員の関係。彼の名前すら知らないし、彼だって俺の名前を知らない。自分から彼に話しかけることなんてできない俺の初恋は、バイトを辞めたことで儚く散った。
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