132 / 132

チョコプレートには“Happy Birthday”とホワイトチョコで描かれている。 俺はそれを千秋さんのケーキの上に乗せる。 「ここのケーキ美味しいですよね」 俺はフォークを千秋さんに手渡す。 「ほんとにありがとう。嬉しい」 千秋さんがフォークを持っている俺の手ごと両手で包むように優しく握る。 俺を真っ直ぐ見つめる千秋さんに、俺は視線をそらすことができずじっと千秋さんを見つめる。 「シチューも美味しかったし、ケーキもわざわざ俺のために買ってきてくれて……本当に嬉しい」 「千秋さんに喜んでもらえて嬉しいです」 俺は喜んでもらえたことが嬉しくて、千秋さんの手をギュッと握り返す。 「俺も千秋さんの誕生日を祝うことができて嬉しいです」 「……碧」 千秋さんの手が離れ、俺を抱きしめる。 千秋さんは細いように見えて意外に筋肉質で、微かに香るシトラスの匂いが鼻を掠める。 千秋さんに抱きしめられると、何故かもう何もできなくなってしまう。 何か魔法でも使っているのだろうか……。 俺は千秋さんの背中に腕を回す。 「ありがとう、碧。誕生日に碧に祝ってもらえたこと一生忘れない」 俺の耳元に直に感じる千秋さんの吐息。 こんなにも千秋さんの全てを身体中で感じられるのが、凄く凄く─── 「幸せだな」 「俺も」 千秋さんは抱きしめていた腕を離し、俺を真っ直ぐ見つめる。 徐々に千秋さんの整っている顔が近づき───俺はゆっくりと眼を瞑る。 千秋さんの柔らかい唇が俺の唇とゆっくり重なり合う。 俺の唇を食むように口付ける千秋さんのキスは気持ちよくて──俺はそれに応えるのに必死だ。 どのくらいの時間、唇を重ね合わせていたのか、名残惜しそうに離れる千秋さん。俺は息切れしつつ千秋さんを見つめる。 「碧その顔反則」 千秋さんの獰猛な瞳が俺を射抜く。 そのまま手を引かれてベットへと連れて行かれる。 今日の夜は凄く長い夜になりそうだ──。 でもそんな甘い夜を千秋さんと過ごせるなんて幸せだな……。 俺はベットに優しく押し倒されながら、千秋さんの顔を見つめる 「千秋さん大好き」 千秋さんの首に腕を回した。 千秋誕生日SS  おわり

ともだちにシェアしよう!