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花火大会りんご飴の情欲

 確かにあの時――。1学期の始業式の日。  碧に話しかけた遠藤にあからさまな態度で睨んだりしたが、俺たちの関係に気づいたとはな……不覚だった。 「…………あっ」 「……碧」  先ほど遠藤が近づいてきた方向とは別の方向から碧の名前を呟く声が聞こえてきた。  この声……。 「…比呂」 「よっ!風邪は治ったみたいだなー」  碧の親友、真中比呂が右手を軽く上げながら、碧に近づいている。 「うん。比呂には迷惑かけたよね。ごめん」 「別に気にすんな」  碧に優しく微笑んでいる真中。  きっと。というか絶対、真中は碧のことが恋愛感情で好きだ。  でも、真中は自分より碧のことを想って俺にあの時、教えてくれた。  そのおかげで、碧に自分の気持ちを伝えることができた。 「へぇー、あなたが比呂せんせーの親友、柏木碧さん」  いきなり会話に入ってきた人物。  真中の隣に立っている男。 「えーと。そうですけど…」  碧が訝しげにそいつを見ている。

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