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第1話
この日をどれだけ待ち望んだか…お前に会える年に一度の大切な日。
日付が変わる前から窓を開け空を見上げていた。
「今年は満月だ」
大きな月に照らされて影が出来る。そこへもうひとつ長い影が伸びる
「久しぶり!元気だった?」
彼は屈託ない笑顔を向ける
「久しぶり!元気だったよ」
…彼は人と何ら変わらない容姿ではあるがその頭には耳があり尻にはしっぽ…彼は
「会いたかったよ。ご主人様」
僕が昔飼っていた犬のリドル。僕の唯一の友人…
「今年も来ちゃった」
輪廻転生の枠から弾かれてしまった彼は普段はこの辺りをさ迷っている浮遊霊らしい
普段もいるのにその姿を目に写してやれなくて心苦しい…
だからこの日だけは特別なんだ
「リド…」
僕よりも少しだけ大きなリドルに抱きつく
「ご主人様。、大好きです」
そしてベッドへなだれ込み抱き合った。
初めて体を拓いたのはリドルが死んだ翌年。リドルから離れたくなかったのとリドが僕を見て発情したためそのまま流されるように体を繋げた。
それからもう五度目の秋を迎えていた。
散々欲を吐き出しもう指先すら動かせないほどの甘い疲労感。この瞬間が堪らなく好きだ…
リドルの広い胸に頬を寄せる。リドルは僕の頭を撫できゅっと強く抱き締めた…そして息を飲み…意を決したように僕と目を合わせた。瞳の奥にキラリと光るもの。いつもと違う様子に緊張する
「ねぇ。ご主人様…」
「ん?」
「僕はもうここにはこられないかもしれない…」
「え?」
「ごめんね」
そういい己の姿が見えなくなるまでしつこく僕を攻め立てた。
沢山の欲を僕の中に放つ。このままリドルの子を身籠れたらどれだけ幸せだろう…リドルがもう僕に会いたくなくてもリドルとの子がいるならばきっと生きていけるのに…
嫌だ…行かないで…引き留めたいのに体が重くてもう動けない…さよなら…いえなかったな…そのまま意識を飛ばした
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