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10月、街はハロウィンで染められていた。コスプレ商品、限定スイーツ、限定パッケージなどなど。当日はどんな格好をしようか何をしようかとイマドキ高校生たちは胸を躍らせている。
「ふふふふ…これたまらんわぁ……」
昼休み、そんなハロウィン雰囲気の中、2年5組の教室の隅で増田 琉璃 は1人で本を読んでいた。
「増田さん、何読んでんだ?」
同じクラスの大竹 裕也 と、裕也の恋人の赤松 直倫 (1年生)が怪しく笑う増田に声をかけた。
「あ、大竹くんに赤松くん。えへへ…昨日ジャケ買いしちゃった本が大当たりだったの」
「…また如何わしい本だろ」
「失礼な!この美麗美少年の表紙のどこが如何わしいっていうの?」
増田は2人に内表紙を見せた。
そこには、パティシエっぽいイケメン男性の膝の上に魔法使いの帽子とローブだけを纏ってプリッとしたお尻が出てる少年が乗ってるイラストだった。
「何これ、裸魔法使い?変態なのか?」
裕也の目は死んでた。
「失礼な!可愛いでしょ?ハロウィンでしょ?このお尻のプリプリ具合がいいのよねー」
「ハロウィン関係ねーし!つーかこんなのマジ漫画だけだぞ!男でこんなプリケツ存在しねーからな!」
「分かってるわよ!あの天使の石蕗先生も肉がなくてプリプリなお尻じゃなかったのぉ…」
「触ったんかい!」
裕也と増田が相変わらずなやり取りをしているのを直倫はそっと見守っていた。
というか彼の頭の中は大変なことになっていた。
(ハロウィン…これがハロウィンなのか……)
ハロウィンをしたことがない直倫は盛大な勘違いをしていたことに、裕也はまだ気付いていなかった。
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