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グータラなキミと。☆7
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それでも、時は無情に流れていく。
幸いにも、仕事が忙しくなり、
自らすすんで残業を引き受け、
考える時間を作らないように
していたからか
陽向の事ばかり考える事は
少なくなってきていた。
もうすぐ1ヶ月。
『どうしよう・・・・。』
俺は悩んでいた。
陽向のスマホをどうするか。
陽向には、
俺が買って、俺が月々の支払いをしてたから
俺のモンだ・・・なんて言ったけど
やっぱり勝手に解約は出来ない・・・よなぁ。
とりあえず、とうに電池の切れたスマホを
充電する事にした。
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『うわっ!なんだ こりゃ・・・・』
フル充電したスマホを見ると
メッセージが鬼のようにきていた。
陽向・・・、スマホ無くて
困ってなかったかな・・・
なんて、
取り上げた事を後悔するほどの数。
トップ画面に表示してある最後の
メッセージに目をやると、
そこには。
「ヒナ、今どこにいんの?
彼氏と別れたって聞いたけど!?
ヒナ、すっげー頑張ってたのに残念!」
すっげー頑張ってた?
・・・何を?
胸がざわざわする。
『陽向、ごめん・・・!』
勝手に人のスマホを見るのはマナー違反だ。
でも、気になる。どうしても。
俺は、メッセージをタップして、
アプリを起動する。
メッセージは、陽向が出て行ってから
1週間くらいまでの時期に
集中して来ていた。
下から上へ読んで行くと、その1週間を
遡っていくことになる。
「ヒナ、連絡して!心配だよ~!
例の大好きな彼氏と何かあったの?」
・・・大好きな?
まさか、俺じゃ・・・ないよな?
でも、この時期つきあってたのは・・・
いや、他にもいたのかも・・・。
「ヒナ、スマホ壊れたとか?
既読つかんけど木曜、大丈夫??」
木曜?
誰かと約束してたのか・・・。
スマホ無かったけど・・・会えたのかな?
「ヒナ、約束の料理、教えるのって
木曜の夜は どう?」
・・・料理?
陽向が?
「ヒナが料理したいって笑える!
でも、一緒に暮らしてる
彼氏のためだもんね!協力するよ!
日にちは、また知らせるね!」
一緒に暮らしてるって・・・
やっぱり、俺?
・・・・俺の・・・ため?
陽向が・・・?
俺の知らないところで陽向が
何をしてたのか・・・
浮気とか悪い事ばかりを想像してたのに
俺のために・・・料理?
思いもしなかった事実に、
俺は混乱していた。
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