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第7話 『無理です!!』

「あの人超イケメン!!」 「あ、ホント。……声掛けてみようか」 少し離れたところから、女の話し声。 その女の視線が俺と合った。 女は俺と視線が合うと、何故か手を振ってきた。 どうせ俺の名前を聞けば、笑いを堪えながら遠退いていく。 『徳田財閥』の『徳田 新之助』は有名すぎる名前だ。 「新さん、ヤッホー」 「宮城」 俺に話し掛けてきたのは、宮城 源(みやぎ げん)、同級生で俺の童貞をやった男だ。 こいつも『残念』なヤツだ。 「よう、宮城県!!」 「宮城 源だって」 おちゃらけて返せるのは羨ましい。 宮城は童顔で、どう見ても中学三年生くらいにしか見えない容姿をしている。 だから俺は『童顔』というコイツの武器を使った。 「今日ミクちゃんと一緒に校内歩かないの?」 「ミクは今年六年だし。新一年生の入学式で忙しくなるから連れまわせない」 「新さんはホントにミクちゃんだけは大事にしてるよね」 「当たり前だろ。ミクは俺の天使だからな」 俺はミク以外は見えていないし、ミク以外は欲しくない。 「じゃ、あの女の子達に『俺は『徳田 新之助』だ』って言って引かれてきなよ。新さんが脱色して金髪にイメチェンしてるの気付いてないから」 宮城に言われて俺はさっきの女に声を掛けた。 「俺は『◯本の◯男坊、徳田 新之助だ』」 こう言うと、俺を知らないヤツでも引いていく。 有名過ぎて、ある意味『便利』な名前なのかもしれない。

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