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第59話

俺は昨晩から良い気になっていた。 どうしようもない、出来損ないの徳田 新之助。 祖母は俺の父親の名前を、『徳田 新之助』と名付けなかったらしい。 が、俺の曾祖母(つまり祖母の姑)が父親の名前を名付けた。 よって祖母は孫の俺に『徳田 新之助』と名付けた。 祖母は『暴れん○将軍』が大好きだ。 徳川吉宗のフィクションの物語だと理解した上でも、祖母は『徳田 新之助』という人物が好きなんだそうだ。 俺は『暴れん○将軍』なんて大嫌いだ。 だけど、『徳田 新之助』という男としては好感が持てる。 「でも俺は『暴れん○将軍』の徳田 新之助じゃない」 あんな出来た男じゃない。 俺はショタコンで、ゲイで、変態のクズ野郎だ。 だからミクに告白しても通じない。 本物の『徳田新之助』なら『上手くいった』か、『フラれても割り切れた』、出来た人間だから。 「……失恋って、こんなに辛いもんなんだな」 俺に言い寄ってきた奴らもこんな気持ちになったんだろうか。 もう少し……優しくしてやっても良かったかもしれなかったな。 俺は棚の上に飾ってあった、ミクと俺の写真立て二枚を倒してからベッドに寝転がった。

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