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♥第22話

南○駅で待っていると黒いリムジンが止まった。 「あっ!瑠璃。こっちこっち。」 窓から顔を出したのは美和だった。 「お願いします…。「こんにちは、瑠璃ちゃん。」 声をかけてきたのは運転している男の人だった。 「あー、この人、うちの兄貴。」 「どーも。いつも美和がお世話になってます。」 「いえいえ‼僕が、逆にお世話になってます‼」 「可愛いなぁ…「兄貴、手ぇ出したらわかってんだろうな。」 いつもと違う感じの美和に怖くなった。 「着いたで。」 そこは、東雲家とはまた違うスケールだった。 和風な造りで庭園の池に鯉がいた。 美和の部屋がある離れに行くと金魚がいた。 「美和、すごいねぇ‼」 「そう?普通だけど…。」 バタバタ バターンッ! 「美和!?瑠璃さんが来たんだって?」 入ってきたのは、美和のお母さんとお父さんだった。 「…母さん、父さん。」 「あっ‼はじめまして。僕 東雲 瑠璃と申します。」 「やーっぱり、可愛いわぁ‼あら、ごめんなさいね。私、豊穣 菖蒲と申します。 「かーわいいなぁッ!グフッ!」」 菖蒲さんが隣にいるおとうさんに素早くキレの良い、拳が入った。 「このおっさんがうちの、主人なの。」 「はじめまして、私が、豊穣 護だ。」 「で、俺が、豊穣 泰久。」 「…君の事情は私と妻が知っている。…ここにいる間はゆっくりとくつろぎなさい。」 そう言って護さんと菖蒲さんと泰久さんは部屋から出ていった。 「…まさか、瑠璃。透さん許嫁と?」 美和は不安そうにこちらを見ている。 「…うん。でも、二人が幸せならいいかなって…「アホか!?あの人がそんなん…ッ」 美和は悲しそうに僕の目を見た。 「菖蒲さん、僕も晩御飯手伝います。」 「あら、いいの?では、一緒にしましょ?」 菖蒲さんは綺麗な和服の上からエプロンをつけていた。 「えーと、天ぷらにしようかな。」 「じゃあ下準備しておきますね。」 「ありがとー‼」 サクッモグモグ… 「うまい‼旨すぎる。」 「あなた、瑠璃さんがやってくれたのよ。美味しいでしょ?」 「美味しい‼瑠璃天才だね‼」 「いやいや…そこまででも…」 久しぶりにこんなに賑わった夕食はじめてかも。 「あー、瑠璃ちゃんお嫁にしたいなぁ。」 「もう。泰久ったら!…でも、それもいいわね。」 「えっと…?」 どんどん、話が進んでいく。 「確かに、そうだな。瑠璃さんが良ければだが。」 「護さんまで?…考えてみます。」

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