23 / 55
♥第24話
久しぶりにクラスに行った。
「学園だが、瑠璃さんには私の名義で行ってもらう。」
「!そんな、大丈夫ですから。」
「学園はいっていた方がいい。」
「…わかりました。ありがとうございます。」
名前は東雲はもう使っていない。
僕なんかが使っていい名前じゃない。
「えーと…五月雨くん。」
「あ、綾小路先輩。」
「…透さん、婚約したそうだね。」
「…はい。でも、これで良かったのかもしれません。」
「実際に僕は普通の男子高校生です。真弓美さんの方がお似合いです。」
「…、五月雨くん。君は、君の気持ちは本当にそうなのか?」
「…本当は、本当はっ、嫌ですよ!!でもっ、諦めなくちゃいけない恋だってあるじゃないですか!!ううっ…ひっく。」
涙が、溢れて仕方がなかった。
「…三井 あかり。」
「え?…」
「三井 あかりさんを探して。」
「なんで…」
「綾小路と言ってくれたら通してくれる。だから、三井コーポレーションという、会社に行って。」
「綾小路さんが…」
「!わかりました。…こちらへ。」
受付の一人が案内してくれる。
「失礼します。柳です。」
「いいわよ~。」
「社長、五月雨 瑠璃さんがお越しになりました。」
いたのは、とても綺麗な金髪の女性だった。
「あらぁ。とても可愛らしいわ‼はじめまして。私は三井 あかり。」
「…はじめまして。」
「クスッ…私は、透の従兄弟なの。ちなみに、あの…真弓美ともね。」
「…!?」
「…真弓美に…、バレてしまったのね。」
あかりは下を向いてしまった。
「…仕方ないです。僕とじゃつりあわない。」
「そんなことないわ‼透はとてもあなたを愛していたのに。」
「…違いますよ。彼は僕のことなんか。」
「じゃあ、あなたはもう透のことが好きではない?」
その言葉に胸が傷んだ。
「透はあなたのこと大事にしてたんじゃないの?」
僕は何も言えなくなった。
「…別にあなたを責めてるわけじゃないわ。でも、少しは透の気持ちを考えてくれないかしら。」
あかりさんは弱々しく僕に言った。
「…透は今脅されてるの。」
「誰に!?」
「…三井家に。」
「三井家は東雲家とは、深く繋がりがあってその両家のお祖父様が婚約を決めてしまったの。
お祖父様たちの考えには誰も逆らえないから。」
「…そんな…。」
「…それと、この間はごめんね。」
「なんのことですか?」
「日曜日、私が彼とあったこと。」
「…それは…。」
「そのせいであなたがこんなにも苦しんでしまった。」
「…いいんです。…」
「…ごめんなさい。…送っていくわ。」
ともだちにシェアしよう!