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♥第53話
あーだこーだと言い合いしていると、遠くの方で誰かがこっちに向かっている音がした。
「ただいま、咲楽、それに透と瑠璃さん。」
優しそうなとおるさんに似ている男の人が入ってきた。
「父さん」「あなた」
「透、久しぶりだな。はじめまして、瑠璃さん。私は、透の父の勤(つとむ)です。」
「はじめまして!」
「やっぱり…あの人たちに似てるなぁ…ほんとに可愛らしい。」
「…?」
「父さん、…」
「私たちのことは本当の親だとおもっていいからね?」
咲楽さんはにっこりして言ってくれた。
「瑠璃…そろそろ帰ろうか。」
透さんはゲンナリとしていた。
なんでだろ…?
「…瑠璃が取られちゃう…」
小声で何か聞こえた気がしたけど聞こえなかった。
「もう帰っちゃうの?…またいつでも来てちょうだねいね?」
「はいっ!」
心がほっと暖かくなった。
「透さん、いいご両親だね!」
「まあ、あの人たちは瑠璃のこととても気に入ってるからね…。」
寂しそうに僕の頬をなでて、おでこにちゅーしてくれた。
「透さん、僕来れて良かった!」
「瑠璃、いつでも言ってくれたら連れて行ってあげるよ。」
「ありがとう!透さん!」
僕は透さんに思わず抱きついてしまい、
まぁ美味しく頂かれました。
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