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15.
あの衝撃的な1日を終えてからというもの。頻繁に連絡を取っていたのが嘘のように、彼とのトーク画面は動きを見せない。
(……そりゃそうか)
俺も、何人かいる遊び相手の1人にすぎないのだから。
なるべく考えないように、と思えば思うほど意識はそちらに向いてしまって。ここ最近の様子を案じてくれた友達には申しわけないと思っている。
「俺、今日ルイさんの店見せてもらうから、先に帰るけど……」
心配そうな視線を寄こす芹生の頭をくしゃりと撫でてから手を振った。
こちらを気にしつつ足早に立ち去る背中を眺めて、ため息をひとつ。
ルイさんの店、と言っていたからきっとあの街だろう。実を言うと、アーケードの入り口横にある大型ディスカウントストアに用があったが、鉢合わせても気まずい。急ぎでもないのだから別の日にしようと決めた。
今思えば、これが運命の分かれ道だったのかもしれない。
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