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ただいま、と呟く声は途切れることになった。吹きすさぶ寒風から逃げるように玄関へ入り、ドアを閉めた途端。 「お、い……っ」 するりと侵入してくる手のひら。戯れで文字を書いたのはついさっきだというのに、全くの別物に思えて。早まる鼓動を落ち着けようと深呼吸する。 「…シャワー、浴びたいんだけど」 「待てない」 掠れる声音、鋭い視線。 嗚呼、クリスマスとはここまで人を甘やかすものなのか。まるで恋人のように、性急に求められることが歓喜に繋がってしまう。 仕事終わりの臭いも、準備も。今は全て忘れることに決めて、目の前の首に縋りついた。 「…今日、仕事だったんですよね?」 「あたり、まえ……だろ…」 疑問符を投げられ、思わず眉を潜めた。後孔から指を引き抜いた細田は、幾分かトーンの下がった声を出す。 「……てっきり他の奴としてきたのかと。こんなにぐずぐずだから」 突きつけられた指が纏う粘液の量を見たくない。羞恥でシーツを握りしめる。返事も出来ない俺を気に留めず、聞こえるのはピリピリという馴染みのある音。 その避妊具を巡って気まずい空気になったあの日。だいぶ昔のように感じた。 「良いですか…?」 いつも俺を乱れさせる快楽の切っ先が宛てがわれて。熟れ切ったそこがひくりと誘うように動いたのが分かる。 待てない、もう。 「…はや……く、ここ…」 自らの指で左右に広がる後孔を見せ付けて、どうだと振り向く。情欲に染まる双眸が細められた、瞬間。 「ぅ、あ……っ、ちょ…!」 「…すんなり入りました、ね」 何の前置きも無しに最奥まで届いた、脈打つ昂り。ふ、と笑う吐息が耳朶をくすぐる。 捕えた顎を滑る指。緩く撫でられた唇が、どうしようもなく熱い。誘うように開けば、胎内の塊が硬度を増す。 「……ほそ…っ、だ…」 真横に並ぶ瞳の奥を覗き込む。 今なら。いつもと違う雰囲気の、この時間なら。 吸い寄せられるように顔を近付けて―――… 「…っ、」 絶妙なタイミングで離れる体躯。高く上げた腰を掴む、彼の表情は窺えない。 不意に目頭が熱くなって、シーツに鼻を押し付けた。 (やっぱり……) 身体だけの関係だと。 自分達に、キスは必要ないのだと。 込み上げる何かを奥歯ですり潰した。

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