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夢を見ている、と。感覚的に分かった。 自分はさっき寝入ったはずで―――… 泡のように浮かんでは消える場面。 ひどく懐かしくて、あたたかい光景が。 青い遊具。クリスマスの星空。慌ただしく押し込められた玄関先、今横たわっているこのベッド……で、 はっと目を開けた。飛び起きて、暗闇のなか頭を抱える。 (どう、して……!) どうして、忘れられたんだろう。この気持ちを。 ―――思い出した。全て。 少しの痛みを誤魔化そうと、きつく握りしめた胸元のシャツにはきっと皺が寄っている。 まんじりともせずに朝を迎え、取りあえずはルイに電話しようと思い立った。 『…はい』 「もしもし、?」 『どうしたのハル』 聞こえる友人の声は穏やかだった。背中を押された気分で、自らの現状をたどたどしく伝える。 「あの…俺さ、記憶戻って…」 ややあってから、僅かに息を呑むルイ。 『良かった…!本当に、良かった…』 「色々迷惑かけてごめんな」 『ううん、迷惑なんかじゃない』 心から喜んでくれている様子の彼に、そうかと笑って。 「…迷惑ついでにさ、そっち行っても良い?」 『今から?良いよ、休みだし』 了承を受け、電話を終わらせてから1時間後。訪ね人は些か疲れた様子の表情を浮かべていて。 「…久しぶり。つうかお前なんって顔してんだ」 「そっちこそ」 開口一番の苦笑いと、玄関の扉が閉まる音。リビングに通され真っ先に猫の元へ向かう。 「……なんか元気無くねえ?」 「どっちが?」 この場合の主語はルイか、それともミウちゃんか。コーヒーを煎れながら短く問われ、 「…両方」 ソファーに腰掛けながら、ため息と共に吐き出す答え。出来上がった飲み物を注ぎつつちらりと視線を送ってきた彼に首を振る。

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