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epilogue

あれから、俺と智瑛は付き合っていることを隠さなくなった。 朝一緒に朝食を食べて登校し、廊下ですれ違ったら挨拶をして、昼食も一緒にとる。放課後俺は急いで生徒会の仕事を片付けることが無くなり、結果ミスが減って早く帰れる日が増えた気もする。智瑛は美術室でミオちゃんのイラストを描くのをやめ、寮の部屋に篭るようになった。 周りの反応は、智瑛が危惧していたような所謂嫌がらせは今のところ全くない。寧ろ祝福してくれている。それはひとえに生徒会の面々が皆俺の恋人である智瑛の存在を温かく迎え入れて、かつ智瑛のその画力や情報ネットワークを単純に褒め称えていたのが原因だ。 そんなわけで俺の秘密の恋人は晴れて公認の恋人になったわけだが、俺のもう一つの秘密は当然秘密のままだ。 生徒会の仕事を終えた俺はまっすぐ自分の部屋に帰ると簡単に荷物を片付けて智瑛と一緒に食堂で夕食を共にする。 そして一緒に俺の部屋に帰ってくると、今日の俺の女装コーディネートを決める。大抵は智瑛の好みの服装に合わせたメイクとヘアアレンジを施すようになっていた。 今日のコーディネートが決まると智瑛は一旦あるものを取りに部屋に戻る。その間に俺は女装を完成させるのだ。 今日はふんわりしたシルエットのブラウスに花柄のスカート。清純派のイメージでナチュラルかつ透明感があるようにメイクして、髪はふわふわに巻いてゆるいポニーテールにした。 今日も上出来。 鏡の前で一人で頷いていると、ピンポンとインターホンが鳴る。智瑛が戻ってきたのだ。 「おお!可愛い!いいよいいよ、可愛い!」 俺の姿を見るなり大絶賛してくれる智瑛の手には、買ったばかりの一眼レフカメラ。 智瑛は写真という新しい趣味を見つけ、女装した俺をモデルに写真を撮りまくっている。 智瑛はネットのオタク仲間に「男の()と付き合っている」と暴露し、最近顔は出さないという条件でネットにもアップし始めたのだが、これがなかなか好評なようだった。 「優太ー!こっち向いて!あー!可愛い!いいよその角度!ちょー可愛い!さすが俺の嫁!違った彼氏!」 写真を撮っている時の智瑛は、ちょっとだけ煩い。 けど趣味に一生懸命で、周りが見えなくなるほどの集中している智瑛はやっぱりかっこいいのだ。 俺の女装趣味は、俺が楽しむものから二人で楽しむものに変わった。 けれど二人きりで楽しむもの。智瑛と俺の、トップシークレットだ。

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