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第8話
ジリリリリリリリリリ!!!
カチッ
「…あと…3分…」
ジリリリリリリリリリ!!!
カチッ
「あと…1分」
ジリリリリリリリリリ!!!
「だぁー!うるせー!」
ベッドから降りて目覚まし時計を止める。
いつもなら二度寝している所だが、今日特別目覚まし時計があったせいで目が完全に覚めてしまった。
階段を降り、リビングに入るとラップがかかった皿の上に手紙が置いてあった。
お姉ちゃん、また仕事で遠くにいくことになっちゃった。急で悪いんだけど1人でよろしくね。学校頑張ってね 緋色より
姉貴が仕事で遠くに行くらしい。数日前もそうだったが少し寂しい。
姉貴が作ってくれた朝食を食べ、制服に着替えたところでインターホンが鳴った。
「吉野?おはよう。萩野連れてきたよ。」
にっこり笑う海の後ろで萩野のムッとした顔がめに入る。
なんだか少しホッとした。
「おー、おはよ。今行くわ」
急いで玄関から飛び出る。
「わりーわりー、待たせた?」
「いーやー全然。じゃ先いってるねー♪」
ばいばーい♪と手を降る海に俺は、は?となってしまった。
えっ海一緒に行くんじゃねぇの?
萩野と俺二人で行くの!?気まず!!
「…千尋」
「え!?あっうん。」
急に話しかけられたもんだからビックリして
変な声が出た。
「その…ごめん」
さらっと言われた言葉に驚く。まさか萩野から謝るとは思わなかったからだ。ちらっと萩野の顔を見るとさきほど見たムッとした顔ではなく、少し申し訳なさそうな顔をしていた。
「お、おう。別にいいぜ」
「…ありがとな」
今までのやり取りとは違うせいか、緊張した。だが、もう仲直りはしたのだし、緊張の糸も解けた。
「良かったかも、萩野と仲直り出来て」
「?なんで?」
「だってなんかわかんねーけど萩野といるとほっとするし。けっこー好きだぜ?」
俺がそういうと萩野はなぜか顔を背けてしまった。
「萩野?おーい?どうしたんだよ」
声をかけてみても反応がない。
「ごめん、千尋先行ってもいい?」
一緒にいけばいいじゃないかと思ったが何か大事な用事でもあるのかもしれない。そう思った俺はうんと返事をして足早に学校へと向かう萩野をしばしの間見ていた。
なんで萩野急に先行くとか言い出したんだ?
委員会か?それとも週直とか?もしかして…彼女とかとの待ち合わせをこの先でしてたとか…
萩野の彼女のことを考えると急に胸がズキっと痛くなる。
そりゃそうだよな。転校した時でもあの人気っぷりだったもんな。彼女くらいいてもおかしくはない。
なのになんで胸が痛いのかが分からない。
訳がわからずとまどっていると後ろからクラスメートの声がした。
「あれ?吉野じゃね?お前もボッチなの?俺もボッチでさー、一緒に学校いこーぜ」
話しかけてきたやつは話がおもしろく、意外と話があうのでそこそこ話しているやつだ。
俺はなおらない胸の痛みを忘れようと思い、クラスメートと共に学校に行くことにした。
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