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第7話

…きまずい ついさっき俺の家を訪ねて来た海は俺に一言「話がある。」と言い、姉貴がいるとややこしくなりそうなので部屋に連れてきた。 だが、それが良かったのかと言われるとそうではないと思う。 「…」 「…」 いつかの帰り道にあったような互いに喋らない空気になっている。 どうしたらいいんだよこの空気…!! 俺から話すにも言うことなんてねぇし…!! 心の中で一人喋っていると海が話し始めた。 「吉野。あれから吉野が出てって大変だったんだよ。」 海がやっと話し始めたのは小さな俺を責める言葉。 「あっそ。で、何」 我ながらいつもより低い声が出たと思った。 「クラスの子たちはざわざわして、萩野はすっごい不機嫌で。」 僕たちがいろいろしてもおさまんないから弘人までキレるし。と付け足した海にふつふつと怒りがつのってくる。 話って何だと思えば俺を責める言葉しか出てきてねぇじゃんか! 海の話はまるで俺が一方的に萩野に暴言を吐いた感じに聞こえた。 「何だよ、話って重大なことかと思ってたのに実は俺が悪いっていう話?」 海の言葉に苛立ちを覚えた俺は少し言い方が強くなってしまった。 海は肩をびくっとさせたが、何もないように話を続ける。 「違うよ、吉野を責めるとかじゃなくて…ただ……」 「ただ?」 「…萩野と仲直りしてほしくて」 ………どうやら俺の勘違いだったらしい。 海の言葉に気が抜けた… 「それだけ?」 「それだけ…」 それだけだと答える海は少しうつむいていて、表情は見えない。だが、親友のこんな姿は久しぶりに見た。 …まぁ、そこまで言われるなら別にいいか… 「………分かった」 「ホントに!?」 「ホントに」 俺が分かったと答えるとうつむいていた顔を上げ、少し笑った顔でありがとうと言われた。 「じゃあ、明日の朝萩野連れてくるね!!」 「は!?急じゃね!!」 了承したとはいえ、ついさっきのことだ。まだ完全に心の準備ができたわけではない。 「急じゃないよ?だって先に萩野にも話したから!」 …先に話したって、萩野はそれを了承したのだろうか。俺はそう思えないが… 「萩野はいいって言ってたのかよ…」 「素直にうんとは言わなかったけどねー。」 まぁ、それはそうだろう。今日喧嘩した相手と仲直りしろと言われても頷けるわけない。 「そういえばさ、話は変わるんだけど吉野のお姉さん帰って来てるんだね。」 「ん、そう。今日帰って来た。」 俺の家は親が遠くで仕事をしていて、滅多に帰って来ない。 たまには帰って来るが、基本俺や姉貴の行動などに口は出さない。一度何で何も言わないのかと訪ねたらあんたらの人生だから。と言われたことがある。 まぁ俗に言う放任主義な親だ。 「次はいつ仕事に行っちゃうの?」 「……さぁ」 少し間を開け答えると海はそっか。と言い黙ってしまった。 ふと時計に目をやると時刻はすでに8時30分を過ぎていた。時間もあれなので海を家に帰すことにした。 「もう9時過ぎてるから帰った方がいいと思うぞ。街灯少ないし。」 「そうだね、そろそろ帰ろうかな。ありがとね、吉野。」 「ん、じゃな」 玄関まで見送り、自室へ戻る。 海や姉貴と話して少し気分が晴れた。 だが、考えると明日の朝が憂鬱になってきたのでシャワーを浴びてスッキリして明日に備えることにした。

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