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18-F
「ん"んーーーっ」
布団の中でグゥーーーっと両手を伸ばし背伸びをする俺。
只今、午前7時52分。
ぬくぬくお布団から出たくないなよぉー。
「佐久間?」
ベットから床を覗くと、何もない。
顔を上げ、あたりを見回す。
布団を敷くのに動かしたテーブルが元の位置に。
オシャレチェアの上に、俺が昨日着ていた服が綺麗に畳んで置いてある。
そして、俺は佐久間のベッドの上。
「……アレも夢?」
…昨日の夜。
寝てる佐久間にキスした。何回も。
そして、それから…。
「!!」
思い出しただけで恥ずかしくなり、枕に顔を埋める。
「でも……」
ゆっくりと枕から顔を上げ、再度あたりを見回す。
「……」
何事もなかったような雰囲気。
昨日の夜に充満していた、荒く不器用な熱は微塵も感じられない。
逆に、今日も晴れのようで、部屋には気持ちの良い朝日が差し込んでいる。
「……とりあえず、着替えよう」
布団から出ると、…少し寒い。
やっぱり大きい佐久間のスウェット。
昨日と同じように、裾を折り、ウエストを押さえてオシャレチェアの上にある自分の服を取る。
そして、スウェットのズボンを脱ぐと、目に入ったのは……自分のパンツ。
昨日、俺は確かに佐久間のパンツを履いていた。
急な泊まりで着替えがなかったから、佐久間が用意してくれたパンツ。
成長期前に買ったものだ言っていた佐久間のパンツ。
が、今俺が履いているのは、自分のパンツ。
『…染みに、なってんな』
佐久間の言葉を思い出す。
『……グッチャグチャだな』
そうだ。
佐久間のパンツは、自分ので、汚れたんだ。
そして……、
『じゃあ……もっと…グッチャグチャになろうか?』
「……やっぱり、夢じゃなかった」
三度 、静かに部屋を見渡す。
急に、背中が冷える。
さっき、恥ずかしいと思って上がった熱が、みるみる下がっていく。
何度見ても変わらない。
昨日の夕方、初めて入ったときと同じ。
綺麗なままの部屋。
「これは……」
なかった事になってる?
あの行為も?
あの熱も?
あの佐久間も?
どんな君でも、好きだと思ったのに。
その気持ちも?
何事もなかったかのようなこの部屋が、君自身を表しているような気がして、怖い。
佐久間。
俺は…。
俺は、目が覚めたとき。
まだ、布団の中で微睡む君に。
言いたかった。
"いつもの台詞"を。
そして、寝ぼけ眼の甘い顔で、
『おはよう』
と返してくれる、君が見たかった。
……to be continued...
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