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第16話

「アレ、寺島、部活はー?」 白々しく聞いてみる。 「英語の小テストでミスってさー。で、雅実に見てもらってた」 「ふーん」 ホントかよ。 ワザと間違えて、雅実との時間を確保したんじゃねーのか? 「でも、ソレ。英語じゃなくて古典じゃね?」 「あ、こ、コレは、小テストのやり直しが終わって、でも、寺島が、雅人が来るまで一緒に待っててくれるって言ってくれて、それで、ちょっと和歌について話してたんだ」 「ふーん」 雅実も寺島の肩持つんだ。 ふーん。 「じゃあー俺も戻ってきたし、寺島もやり直し提出して、早く部活行った方がいいんじゃない。剣道部のエースとはいえ、顧問の真鍋、激コワじゃん」 「あ、大丈夫大丈夫。今日は真鍋先生出張でいないから」 Oh、バッドタイミング! 真鍋マジ使えねー! ってか、ちょっとドヤ顔な寺島、マジムカつく! 「で、でも、早く行って練習した方がいいよ。もうすぐ試合なんだろ?」 ナイス、雅実! そーだ、そーだ、早く部活行けー!! 「……うん、そうだな」 へっへー、寺島、雅実に言われてショック受けてやーんの♪ そんな寺島に気づかない雅実は、広げていた教科書類をテキパキと片付ける。 「じゃあ、また明日」 「うん、また明日」 「じゃーねー♪」 最後に教室の戸締りを確認して、教室を出た俺たち。 別れの挨拶をして、さて帰ろうかとしたとき、 「あ、寺島!」 「ん?」 雅実が寺島を呼び止めた。 どうした、雅実?さっさと帰ろうぜ。 そんな事を思って、雅実の方を向くと、 「一緒に待っててくれてありがとう。部活頑張って」 ハニカミながら、寺島にお礼を言った雅実。 そんな雅実を見た寺島は、照れくさそうに"ああ"と頷いて、職員室に向かって行った。 「じゃあ、俺たちも帰ろうか」 「んー」 なーんか面白くないけど、雅実のあんな顔を見たら何も言えない。 あー、やっぱり、雅実、恋しちゃってんのかなー。

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