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第15話
なんだかんだ考えて歩いていたら、雅実の教室の前に着いてた。
ビックリさせようかとゆっくり扉に近づくと、
「………なんだ」
「うん」
雅実の声とは別に、最近よく聞くようになった声がした。
脅かすプランは変更して、家◯婦は見たプランでいこう!
扉から、こっそり中を覗く。
「この結句が…」
「うん」
机に広げた本を見ながら話している雅実と、両手で頬杖をついて頷いている寺島が目に入った。
一生懸命話している雅実と、そんな雅実を微笑ましい顔で見つめる寺島。
「ずっと思っていたところに来れたっていうのが、凄く伝わってくるんだ」
「うんうん」
でも、何か違和感がある……。
「作者は不明なんだけどね」
「不明とかあるんだ」
そうだ、分かった!
寺島が雅実の対面で座ってる!
「うん。作者不明は結構多いよ。この句もそうだし…」
「へー」
いつもの俺の場所に、今は寺島がいる。
………。
……。
…。
うん、まさと、ちょっとジェラ。
だから……。
「まーさみ、おまたせー!」
「わっ!?雅人!!」
二人の時間を強制終了!
……って、寺島、そんな顔でこっちを見るなよ。
だけど、皆さまも分かるでしょ、俺の気持ち?
寺島はイイ奴だ。友達も多いし、人気者だし。
それに、今しがた見た雅実を見る寺島は、優しい甘い顔だった。
もし、ももチャンがボソッと言った、"両片想い"ってのだったら?
雅実が寺島に恋してて、寺島も雅実に恋してたら?
そうだとしたら……。
寺島。おぬしがイイ奴なのは重々承知だ。
しかぁーーーし!!
俺の目が黒いうちは、そう簡単に認めませんからね!!
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